早期・希望退職を募集した上場企業の市場区分は、コロナ禍では大企業が目立った一方、 22年では大企業で構成されるプライム市場が18社(同54.5%)と5割にとどまった。
中堅企業で構成されるスタンダードは13社(同39.3%)と4割に迫っている。 実施企業のうち、募集人数が判明した24社では16社(構成比66.6%)が100人未満の募集で、従業員数が数百人規模の中堅企業による実施が多くなっている。
次いで「業種別企業数」を見ると、最も早期・希望退職者募集が多い業種は「アパレル・繊維製品」と「機械」(共に4社)だった。次いで、「電気機器」「医薬品」「情報通信」(共に3社)と続いている。
外食、小売などコロナ禍の直撃を受けた業種では、9月までに募集が判明した企業はなく、コロナ前と同様に製造業を中心とした募集に再び戻った形となった。
早期・希望退職の募集が判明した33社の直近の通期損益は、半数以上の18社(構成比54.5%)が黒字だった。黒字企業の実施が赤字企業を上回るのは19年以来3年ぶりとなった。
富士通や日本ペイントホールディングスなどの増益企業で、将来を見据えた人員構成の是正などが散見された結果となっている。赤字企業では、販売不振が長引くアパレルのほか、中堅規模の製造業が人件費削減に取り組むなど、実施企業の「二極化」が進む。
東京商工リサーチは、「加速する円安や資源高、物流価格の高騰が長引くと、製造業や卸売業からサービス業まで幅広い業種でコストアップと需要減に伴う採算悪化で、増勢に転じる可能性を残す」とコメントした。
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