何らかの不祥事や事件によって、短期で大きく下げる場合はその分だけ反発していく可能性があるものの、メタの場合は構造的な事情によって1年間ずるずると下がり続けるという、反発を期待しづらいパターンとなっている。ここからすぐに高値を奪還することは難しそうだ。
メタ社といえば、一時はGoogleを運営する「アルファベット」やiPhoneやmacOSの「アップル」、アマゾンドットコムやAWSの「アマゾン」と並ぶGAFA(GAMA)の一角として米国企業の象徴的存在であった。しかし、メタ社はもはやトップ10すら遠い25位まで時価総額ランクを下げている。本稿執筆(11月2日)時点の米国株トップ5は、順にアップル・マイクロソフト・アルファベット・アマゾン・テスラとなっており、新たに頭角を表しているのはテスラである。
次点には、ウォーレンバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイやビザ、JPモルガン・チェースといった利上げが追い風となる金融セクター企業が時価総額を伸ばしている。また、景気後退でも確かな需要が期待される消費財関連のP&Gやジョンソン&ジョンソン、小売店のウォルマートも他セクターが時価総額を減らす中で底堅く推移している。
こうした状況の中で、一気にランクを下げたメタ社が悪目立ちした形となっているが、その裏側でひっそりと、これまでスター銘柄としてもてはやされていた「エヌビディア」といった半導体関連や「ネットフリックス」「ズーム」といった巣ごもり需要関連銘柄もここ1年で大きく株価を下落させている。エヌビディアは前年比でマイナス48%、ネットフリックスは前年比でマイナス57%、ズームはマイナス64%と、メタ社ほどではないが大幅な下落相場に直面している個別米国株も多くみられている。
それでもS&P500指数が前年比でマイナス16%ほどでとどまっている背景には、成長が期待されている有望なテック企業に流入していた資金が、高金利状況を踏まえて着実に業績を出しているディフェンシブ銘柄に移動する動きがある。
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