自社業績などを株主やユーザーに伝えるため、企業がPower BIやTableau(タブロー、米セールスフォース)といったツールを活用する事例は広がりつつあるものの、自治体レベルでは珍しい取り組みだ。都財務局の担当者も「開始当時、同様の取り組みを本格的に実施している自治体はなかったと承知している」と話す。
同局はなぜこのような取り組みを始めたのか。きっかけは、都庁内のDX推進組織「デジタルサービス局」がPower BIを購入し、全庁的に導入したことだった。財務局内で活用先を検討する中、職員から予算の可視化に関する案が出た。「自分たちの業務成果が都民に伝わっていない」という課題を抱えていたためだ。
財務局は予算編成の権限を持つ一方で、都営地下鉄を運営する交通局、水道施設を運営する水道局、都市計画を手掛ける都市整備局などのように、他局と比較して目に見える形での事業が少なく、事業内容に親近感を持たれにくいというのが一般的なイメージだ。見える化ボード公開前も、冊子で都の予算について広報していたものの、必要な情報を得るのに時間がかかり、利便性に欠けていた。
こうした背景から事業はスタート。「伝わらないものを伝わるように」を合言葉に、使い方をまとめた書籍を読み漁り、可視化の作業を進めた。冊子版の使い勝手の悪さを考慮し、細かい点はカット。できる限り、シンプルな情報掲載を心がけた。Power BIに精通した職員が偶然いたことも後押しとなり、職員同士が互いに教え合うなどして局内一丸で取り組んだ結果、内製化に成功した。
見える化ボード公開後は、都民からUIに関する意見も通年で募集。可能な範囲で改修に生かしている。
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