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5兆円が動く「ESG指数」 選ばれる企業になるために必要なことは?気候変動格付け対応の鉄則(2/3 ページ)

» 2022年11月15日 08時00分 公開
[中西享ITmedia]

「気候変動格付け」に対応するには?

――八林社長は環境省出身ですね。どういう理由でブルードットグリーンに移られたのでしょうか。経歴を教えてください。

 2006年から10年まで環境省に勤務していました。当時は1997年に決まった「京都議定書」に盛り込まれた第一約束期間(温室効果ガス削減目標が各国に課せられていた期間)が2008〜12年でして、その始まりの08年にカーボンクレジットを国内で取引するための制度設計を担当していました。

 その後、10年12月に北海道下川町役場へ転職しました。理由は、国で地球温暖化にかかる制度設計、運用、補助事業創設などを経験させていただきましたが、「社会が変わる感」のような政策効果の実感が得られなかったからです。

 その後、ブルードットグリーンに入りアドバイザーをすることになりました。主な仕事はカーボンオフセット、カーボンクレジットの仲介になるだろうと思っていました。しかし、20年秋の菅前首相のカーボンニュートラル宣言をきっかけに、企業がCO2の削減に本気で取り組むようになりました。

 そのころエスプールが出資して親会社になることになり、それを機に社長に就任しました。当時はコンサルがこれほど伸びるとは思ってはいませんでした。

photo 気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく開示要求項目

――CDPやTCFDの背後には投資家がいて、CDPの質問状やTCFDの要求する気候変動に対する戦略的取り組みを企業がどう回答するかに注目しているといいます。結果的に株価にも影響するということでしょうか。

 CDPはロンドンに本部があるNGOで、20年以上の歴史があります。影響力は大きく、プライム企業には毎年3月にCO2排出量や対策など細かい130設問に及ぶ質問状が送られ、各社は7月の締め切りまでに回答しなければなりません。

 CDPはこの回答を踏まえて、各企業をA〜Fランクまでスコアリングします。いわば「気候変動格付け」のようなものです。わが社はこのCDPの質問状に答えた企業の採点もしているCDP認定スコアリングパートナーですので、どのように答えたらよいかのノウハウも持っています。もちろん顧客となっている企業の採点は、ルールに反するため行いません。

 グーグルファイナンスでもこの格付けが表示されるようになっています。回答しない企業は、気候変動対策に熱心でない企業とみられます。この格付けが投資家の判断基準になるため、企業経営者は格付けをかなり気にしています。

 またCDPは今後、TCFDの方針に沿う考えを明らかにしており、企業としてはCDPとTCFDが要求する内容に適格に答えていかなければなりません。

photo カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)とは?

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