第二に、労働者からの申し出と就業日などへの同意が必要です。具体的な手続きとしては、(a)休業中の就業を希望する労働者(協定で就業可能と定められた者に限る)が「就業可能な日と時間帯(※1)その他の労働条件(※2)」を申し出て、(b)事業主が(a)の申し出の範囲内で候補日・時間・条件を提示し(※3)、(c)労働者が(b)の提示条件に休業開始日の前日までに同意することが必要です。
(※1)所定労働時間内の時間帯に限ります。(※2)就業の場所(テレワークの可否を含む)に関する事項などが考えられます。(※3)就業させることを希望しない場合はその旨の提示が必要です。
また、(d)同意を得た事業主はあらためて、確定した「就業日・時間その他の労働条件」と「同意を得た旨」を労働者に速やかに通知します。(a)〜(d)の手続きはいずれも書面(※4)による必要があります。
(※4)(a)(c)は事業主が適当と認める場合、また、(b)(d)は労働者が希望する場合は、ファックスまたは電子メール・イントラネット・SNSなど(いずれも労使双方が内容を出力して書面を作成できるものに限る)によることも可能です。
加えて、最終的に合意する就業日と時間数は、以下の(1)〜(3)の範囲内である必要があります。
例えば、所定労働時間が1日8時間の社員が2週間の出生時育児休業を取得する場合において、休業期間中に所定労働日が10日あるときは、(1)就業日数5日以下、(2)就業時間40時間以下、(3)休業開始・終了予定日の就業は8時間未満とする必要があります。
なお、労働者は、休業開始日までは同意の全部または一部を撤回することができます。休業開始後は、法令が定める特別の事由がある場合に限り撤回が可能です。
石嵜裕美子(いしざき・ゆみこ)弁護士
2011年慶應義塾大学法学部法律学科卒業、2013年東京大学法科大学院修了。2014年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。2015年より石嵜・山中総合法律事務所に所属。主な著作に「同一労働同一賃金の基本と実務」(中央経済社・共著)、「就業規則の法律実務(第5版)」(中央経済社・共著)、「企業活力向上につながる!働き方改革関連法」(労働新聞連載2018年7月〜12月)などがある。
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