自治体DX最前線

豊橋鉄道×豊橋市×テクテクライフ、スタンプラリーのDXで観光力アップ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)

» 2022年11月19日 07時26分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 ところが、おそらくどこの自治体もそうだが、予算に余裕がない。上記の通り、豊橋市はすでに公共交通に補助金を出している。スタンプラリーは観光誘客になるとしても遊びの部分が目立つ。確度の高い効果が立証されない限り理解を得にくい。

 そこに国の支援策があった。観光庁の「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」だ。地域などが作成した「観光拠点再生計画」に基づき、全国100カ所を目安に観光拠点を再生し、地域全体で魅力と収益力を高める事業について、短期集中で強力に支援する。令和2年度第3次補正予算事業である。事業区分は「自治体・DMO型(区分1)」「事業者連携型(区分2)」「交通連携型(区分3)」となっていて、区分1と2はかなり絞り込まれたものの、区分3は申請がほぼすべて合格し、均等に予算配分されたようだ。

国の支援制度も活用した。今後、観光やDXなどで新たな機会があるかもしれない(出典:観光庁、既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業

 紙のスタンプラリーに対して、「テクテクライフ」はお年寄りなどスマートフォンに不慣れな人や、子どもなどスマートフォンを持っていない人に馴染まない。そこは保護者が同行して一緒に楽しむなどの工夫が必要だ。地元の人々には別の機会を用意するとして、今回は観光に特化した。

 ついでにいうと、渥美線には筆者の苗字と同じ「杉山駅」があり、筆者の思い入れも深い(笑)。その杉山駅までが豊橋市で、スタンプラリーの範囲はここまで。渥美線全線になっていないところが乗り鉄には惜しい。自治体単位ではなく路線単位で関連自治体も連携してやってくれたら良かった。

 しかし区分3の条件を見て納得だ。「計画の申請者は交通事業者で、構成員に観光分野の事業者または観光関連の団体を含む」となっている。「テクテク豊橋ブラ散歩」は豊橋観光コンベンション協会が協力している。次の機会があったら田原市も参加してほしい。

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