W杯全試合無料生中継という取り組みは、ABEMAにとっても大きなチャレンジになる。塚本局長は「1カ月間という長期間というだけでなく、海外から中継し1試合ごとに視聴者が見たい形で届ける、という経験をほぼしたことがない。全てがチャレンジ」と語る。
ABEMAは過去にサッカーの「コパアメリカ」(南米選手権)の中継を手掛けたことがあるが、W杯とは規模感が全く異なる。経験値がないため「全てが未経験で、判断基準すらなく、一から勉強した」と塚本局長。特に海外での配信環境の整備など技術面でわからないことが多く、資本関係があるテレビ朝日と連携しながら、準備を重ねてきた。
「これまで自分たちがやってきたこと全てを血肉にしているが、テレビ朝日さんと知見を共有できたのが大きい」(塚本局長)
中でも塚本局長が気をかけているのは、ABEMAが独占生中継する23試合分だという。ABEMAでの放送が機能しなければ、日本のユーザーは生中継で視聴する機会を失うからだ。「全く見れないということにならないよう、責任感を持って、インフラとして機能することに注力している」と語った。
数百億円とも推定される巨額投資をしたABEMA。カタール大会では何を目標にするのか。塚本局長は「目標は皆さんに使ってもらうこと。そしてABEMAを次のステージに持って行く。史上最大の投資をして、大会後に『はい、終了』ではなく、W杯をきっかけにABEMAを再認識してもらいたい」と語る。
巨額投資に関しても「広告費はもちろん、W杯をきっかけにABEMAが生活に定着することで、今後のPPVや有料会員の増加見込みなど長期的視点でこの投資は必ず回収できるはずだ」と前向きな姿勢を示した。
最後に塚本局長に、カタール大会への抱負を語ってもらった。
「未来のテレビとして最高品質、唯一無二のものを届けることで、皆さんにとってのインフラになれればと感じている。今まで使ってなかった人に『ABEMAを使って、よかった』と感じてもらえるよう、幅広い年代の方々に、最高の体験をしてもらいたいと強く願うとともに会社としても最高のものを提供したい」
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