NTT「初任給3万アップ」が、日本の「賃上げ」に繋がらないこれだけの理由スピン経済の歩き方(1/7 ページ)

» 2022年11月22日 11時01分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「安い」「低い」とけなされてばかりの日本の賃金がようやく引き上げられていくのではないか、という淡い期待が寄せられている。グループ全体で約33万人を抱える巨大企業NTTが、初任給をドーンと大きく引き上げたからだ。

 11月8日、NTTは2023年4月入社の新入社員の初任給を、現在の大卒21万9000円から25万円とおよそ3万円もアップすると発表。しかも専門性が高い人材はさらにアップで、24%増の27万2000円以上とする。

NTTが初任給をアップすると発表(出典:NTT)

 なぜこんな大振舞いをするのかというと、「能力が高い人材を獲得していく目的」(NTTプレスリリース)だという。NTTは研究開発の人材が35歳までに約3割がGAFAに引き抜かれることで、“GAFAの予備校”などと揶揄(やゆ)されていた。そのような人材流出を防ぐために転勤や単身赴任をやめたり、年功序列をやめて20代から管理職に就けるようにしたりと人事改革を進めている。今回の賃上げもその一貫のようだ。

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