ヤフーが2022年4月に導入した「どこでも居住」制度が大きく注目されました。ざっくり言えば、「従業員が日本のどこに住んでもいい」というものです。ヤフーの人事担当者の方に話を聞くと、さまざまな効果が出ているようです。
このような取り組みは、日本企業の選択肢の一つになっていくのでしょうか。小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析します。
コロナで東京を脱出して他県に移住する人は増えたのでしょうか。
東京都における転入転出は、21年の1年間で転入者数が42万167人、転出者数が41万4734人でした(総務省「住民基本台帳」より、外国人含む)。転入が転出を5433人上回っていますが、転入超過人数は20年と比べて2万5692人減っています。転入超過は14年以降、最も少ない状況です。
東京23区では、転出者数が転入者数を1万4828人上回っています。初めて転出超過となりました。確かに東京から移動する人は増えているようです。
東京都からどこへ転出しているのかについて、東京都住民基本台帳人口移動報告をもとに見てみると、確かに神奈川や福岡、茨城、長野、山梨などへの転出は21年/18年対比で10%以上伸びており、移住が増えているようです。しかし、それ以外の地域は想像したよりも伸びていないと感じました。
その要因は何なのか。リクルートが21年に行った「地方移住および多拠点居住の考え方についてアンケート調査」を見てみましょう。
「地方や郊外への移住の不安や心配事」を尋ねたところ、64%の人が「仕事面」を挙げていて、トップになっています。2番目も「経済面」です。
移住した先で転職できるのか。リモートワークは可能なのか。あるいはそこから現在の職場に通えるのかなど、やはり仕事面の不安があり、移住できない人が多いようです。
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