登山人口は減っているのに、登山アプリ「YAMAP」が成長するワケ有料会員率20%(4/5 ページ)

» 2022年12月09日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

ミルフィーユのように事業の層を厚くする

 ヤマップではアプリの有料会員プランのほかに、登山関連グッズを販売するEC「YAMAP STORE(ヤマップストア)」、登山関連の保険を扱う「YAMAP登山保険」(22年10月末で新規販売は休止)、自治体・企業向けの「アウトドア事業開発」の4つの軸がある。第9期(21年7月〜22年6月)においては、「プレミアム会員数の増加」と「ヤマップストアの伸び」が売上増につながっている。

 この結果について春山氏は、「想定通りの展開だ」と話す。

 「ニッチな領域のビジネスモデルは、ミルフィーユのように事業の軸を重ねて、層を厚くしなければ成長が期待できません。当社の場合は、ユーザーの登山前、登山中、登山後とその前後にある日常に寄り添い、人類のウェルビーイング、地域や山のウェルビーイングにつなげられるよう取り組んでいます」(春山氏)

学生時代に登山を始め、アラスカ暮らしやグラフィック雑誌『風の旅人』の編集などを経て、地元福岡で起業した春山氏

 ヤマップストアは、大手企業と張り合うのではなく、「ほぼ日手帳」や「北欧、暮らしの道具店」のような運営方針だ。スタッフが本当にいいと思える登山・アウトドア道具だけを目利きしてコンテンツとして届け、商品販売につなげる。今後、ヤマップのオリジナルブランドを立ち上げる構想もあるという。

 「先ほどもお話したとおり、ヤマップはユーザーさんとの共創で築いてきたサービスであり、ユーザーさんの声やデータを蓄積しているのが何よりの強みです。このデータはストア事業における商品開発にも生かせると考え、オリジナルブランドの展開を目指しています」(春山氏)

多彩なアウトドアグッズを扱うヤマップストアでは、インソールメーカー・BMZ(ビーエムゼット)とヤマップが、登山のために共同開発したインソール「山を歩くインソール / ベーシック」も発売

 さらには、道具のレンタルなどC2Cまでサービス領域を広げる可能性も。3年前から始めたストア事業は、まだまだ伸びしろがある事業として位置付けている。

 登山保険は、まごころ少額短期保険と契約して代理店として販売をしていたが、22年10月31日をもって代理店と既存保険商品をとりやめた。23年夏を目標に、保険を含む新サービスの立ち上げを考えているそうだ。

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