登山人口は減っているのに、登山アプリ「YAMAP」が成長するワケ有料会員率20%(3/5 ページ)

» 2022年12月09日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

ユーザーと一緒にサービスをつくる

 ヤマップでは、ユーザーはお客様というより一緒にサービスをつくっているパートナーのように捉えている。そんな考え方もまた、ユーザーに支持される理由かもしれない。

 「ユーザーさんとの関係性は初期から大事にしてきました。改善案などの意見を直接僕らに伝えてもらえるような機能を設け、その意見を取り入れながらアップデートを重ねています。ユーザー数が増えてからはデータ分析を行い、定量的に見て優先順位を考えながら機能改善をしています」(春山氏)

現在ヤマップの社員は約90人、そのうち約50人がエンジニアとデザイナー。すべてのソフトウェアを自社開発しているため、高速でPDCAを回せるという

 ユーザー属性は40〜50代が最も多く、男女比は6.5:3.5ほどで男性が多い。古いデータではあるが、総務省統計局が発表している11年の「登山・ハイキングを行った人の状況」では、日本の登山人口は60代を中心とした分布となる。それと比較すると、ヤマップのユーザーは20歳前後若い層に偏っている。

 春山氏によれば、コロナ禍のユーザー属性の変化として、若年層が増え、同時にソロ登山を楽しむ人も増加しているという。

7-8月の夏期におけるヤマップ利用者の登山者動向では、ソロ登山を計画している人が増えている(ヤマップのプレスリリースより)

 同調査によれば、コロナ禍で登山人口は落ち込んでいたが、22年の夏にいたっては登山をするために移動した距離が19年と同じ水準に戻っている。ただし、山小屋が宿泊人数を減らして対応していたり、完全予約制になっていたりすることが影響してか、2500メートル以上の高山に行く登山者の割合は、いまだコロナ前の水準に戻りきっていないそうだ。

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