21年7月に始まったヤマップの新しい取り組み、循環型コミュニティポイント「DOMO」(ドーモ)もまた、ヤマップの思想が伝わる取り組みかもしれない。
例えば「山に行った・活動日記を保存した・みまもり機能をONにした」といったふうに、他者やコミュニティーに貢献する行動をすると、運営側からDOMOが付与される。貯まったDOMOは、「共感・感謝・応援」といったポジティブな気持ちを伝え合う手段としてユーザー同士で送り合う、あるいは山の再生や登山道整備などの支援に使うこともできる。
利他的なポイントであることに加え、もう1つユニークなのが3カ月で失効してしまうこと。「貯める」のではなく、「送る」「支援する」ことに重きを置き、循環させる。そうすることで、サービスを通じて運営側が目指している世界観を伝え、山の再生につなげていく狙いがあるという。
「山が荒廃している現状を踏まえ、登山者が増えることで山が再生する仕組みをつくりたいと思って、DOMOを始めました。ヤマップのコミュニティーをベースに共助というスタイルで山の環境を良くできたら、希望のあるプロジェクトになるだろうと」(春山氏)
現在は、「ユーザー同士で送り合う」「山の再生を支援する」のいずれかの使い方のみだが、ユーザーのインセンティブとして機能させることも考えているそうだ。
「ユーザーはヤマップストア以外でも道具を買うことができるわけで、ヤマップを使う明確な理由としてポイントの付与は重要だと思っています。いずれ、買い物をしたらDOMOが貯まる、それを次の買い物や自然への貢献として使えるという仕組みを実装したいなと。事業成長の可能性もあるし、ヤマップらしいなとも思います」(春山氏)
サービス提供を通して、人々の人生のみならず、地方や環境も豊かにしたい。ツールとしての利便性や登山ファンとつながれるコミュニティーの価値に加え、そんな思想も登山愛好家に支持される理由かもしれない。
春山氏は、来年の展望として「登山文化を、より社会に位置付けることに重きを置きたい。ナンバー1の登山アプリになった今、ようやく登山人口を広げていくチャレンジができるようになったと思う」と話した。
筆者は登山に興味を抱きつつ山デビューしていない1人なのだが、筆者のような潜在層をどう取り込んでいくかが、これからのヤマップの最大の課題になりそうだ。
写真提供:ヤマップ
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