ご存じのように、日本は常軌を逸した低賃金が30年続いており、G7の中で労働生産性は最下位で、衰退に歯止めがからない。日本生産性本部のまとめでは、19年にOECD加盟38カ国中21位だったが、20年には23位とさらに落ち込んでいる。
これは1970年以降で最低順位だという。数年前からメディアや評論家は口を開けば「賃上げをすることが大事です」と訴えてきたが、賃下げに歯止めがかからず、ついに平均給与や1人当たりGDPで韓国にまで抜かれてしまった。
12月6日に厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比2.6%減で、7カ月連続のマイナスとなった。減少幅は、15年6月以来、7年4カ月ぶりの大きさだ。
ここまで深刻な事態になっているのだから、諸外国のような賃上げを求めるストライキやデモが多発しているはずだが、街ではそういう集まりを目にしない。むしろ、会社の中で「給料を上げさせるように社長に掛け合おうぜ」などと呼びかけると、「あいつは左翼じゃないのか?」などと白い目で見られてしまう。
「正当な賃金を払え」と経営者に迫ることは、世界では労働者の当たり前の権利だが、日本ではそういうことをする労働者は、政治的にも思想的に偏っていると思われるのだ。これはなぜか。
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