相鉄・東急「新横浜線」開通で影響する16路線を読み解く杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/7 ページ)

» 2022年12月17日 09時03分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 相互直通運転がある路線は、自社の都合だけではダイヤを決められない。境界駅で両社の車両がスムーズに運行できるよう配慮する。

 国鉄時代の列車ダイヤは最初に特急列車の時刻を決めて、次に急行、各駅停車の順に決めていた。これは全国一社だからできたことだ。前回のスカイライナーの話でも述べたように、相互直通区間が混ざると有料特急でさえ遠慮する場面がある。

 京急〜都営浅草線〜京成スカイアクセスの直通運転もかなり複雑だ。京成線側は本線と押上線とスカイアクセスが離合するし、都営浅草線も泉岳寺で京急直通と西馬込方面に分かれる。京急も本線系統と羽田空港方面に分かれる。運行計画当事者には申し訳ないけれども、趣味の研究にとっては興味深い路線だった。

 相互直通運転は、線路施設と車両の規格を一致させる必要がある。さらに保安信号装置も統一したいところだけれど、各社が独立して整備したシステムをいっぺんに変えられないから、乗り入れ先の信号システムや無線装置を追加する対応をとる。東急東横線の車両が西武池袋線に乗り入れるときは、西武鉄道式の信号装置が必要というような対処だ。これも、直通全区間に乗り入れるなら、9社局ぶんの信号保安装置や無線装置を乗せる必要がある。

東急電鉄8500系の信号保安装置キャビネット。ブレードサーバのようなシステムで、直通先の保安装置の基盤を差し込んでいく(筆者撮影)

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