ソーシャルコマースはカスタマージャーニーを根底から変える可能性があるため、今まで独自の販売チャネルやマーケティングチャネルを構築してきたブランドやメーカーは、今後ソーシャルコマースをどう活用していくか、戦略的に考える必要があります。
前出のマッキンゼーレポートで紹介されている、ブランドのソーシャルコマース戦略における大切なポイントは以下の通りです。
このように、新しい常識を受け入れ、それに合わせた戦略を模索することで、ブランドは顧客体験をコントロールし、デジタル市場での競争力を高めることができるとレポートでは述べられています。このことからも、ソーシャルコマースが成長するにつれ、アマゾンなどのECサイトで商品を販売しているメーカーやブランドがマーケティング戦略を根底から考え直さなければいけない可能性があるということが分かります。
今回は中国で急成長したソーシャルコマースやライブコマースが米国市場で浸透するかどうかをTikTokの事例を基に考察しました。
SNSにショッピング機能をつけるだけではなく、物流や倉庫管理、配送までを米国拠点で構築しようとしているTikTokの姿勢から、ソーシャルコマース事業参入の意気込みとその市場の大きさが読み取れます。ソーシャルコマースは、共有性、リアルタイム性、衝動性などに富んでおり、アマゾンで能動的な指名検索を行い商品を購入することに慣れた消費者にとっては消費行動における大きな変化を意味します。
圧倒的な視聴数とエンゲージメントの高さを誇るTikTokだからできるコマース事業に今後も期待したいと思います。
パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
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