一方で、実店舗を持たずにインターネットバンキングなどオンラインでの金融事業を主力とする「ネット銀行(新形態の銀行)」は、他業態に比べ大幅なシェア拡大が続いている。「ネット銀行」のシェアは0.17%(前年比0.03ポイント増)、社数で約2500社に達した。10年前から社数でいうと5.5倍、シェアで約6倍にも拡大している。
どの業態から「流入」したかを分析したところ、最も多いのは「都市銀行」で36.45%、 次いで「地方銀行」(26.17%)、「信用金庫」(15.89%)だった。
コロナ禍で、企業の入金方法などが対面からインタ ーネットバンキング(IB)などに変化しているなか、決済手数料や基本利用料の低さから、ネット銀行の口座開設・切り替えを進める企業が増加している。
ネット銀行では「楽天銀行」が、メイン社数で初めて1000社を突破。「PayPay銀行」(旧ジャパンネット銀行)、「住信SBIネット銀行」もそれぞれメイン社数の増加が100社を超え、これら3行を中心にネット銀行全体のシェアを押し上げている。
各都道府県別に企業がメインバンクとして認識している金融機関をみると、「東京都」と「大阪府」「埼玉県」「愛知県」「兵庫県」の5都府県で、都市銀行がトップシェアとなった。一方、42道府県では地方銀行・第二地方銀行がトップシェアを占めている。
1行が単独過半数のシェアを有する都道府県は20に上り、前年と変化はなかった。既に経営統合が発表されている青森県(青森銀行とみちのく銀行:シェア70.51%)、福井県(福 井銀行と福邦銀行:同55.12%)を加えると、単独過半数シェアの都道府県は計22となる。
帝国データバンクは、以下のようにコメントした。
「低コストでの送金や口座維持手数料の無料化など、利便性の高い決済機能面を強みに、ネット銀行が店舗型金融機関の新たな受け皿となりつつある他、他地域から越境してサービスを提供する金融機関も多く、金融機関の選択肢は以前に比べ増えている。
コロナ禍における地方経済下支えが最重要課題となる地域金融機関では、経営統合や事業・資本提携などの形に捉われることなく、融資先企業のニーズに沿った金融・経営支援を持続的に展開できる経営基盤の強化が、引き続き求められる」
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