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EMI Records敏腕レーベルヘッドに聞く、音楽アーティストと部下の魅力を引き出すマネジメント術異才を見いだす「育てるマネジメント」(5/5 ページ)

» 2022年12月26日 05時00分 公開
[仲奈々ITmedia]
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岡田氏: 察することができるかどうかって、「自分ゴト化」できているかどうかだと思うんですよ。自分に必要な話だと思ったら自然とアンテナが高くなるし、逆もしかり。だから、察することができない人に対しては、モチベーションを上げる方向に持っていかなきゃいけない

佐藤氏: どうやってモチベーションを上げるんですか?

岡田氏: やっぱり対話ですかね。プロジェクトの中でやりたいことが見つからなくてモチベーションが上がらないなら、話しながらやりたいことを一緒に探すとか。ただ、人間なのでそれでも無理ってときもあります。その場合は無理に今のプロジェクトに関わらせ続けるのではなく、モチベーションの上がるプロジェクトへの異動も検討しますね。

現場の楽しみは「ビルづくり」、管理職の楽しみは「街づくり」

佐藤氏: 先ほどアーティストのモチベーションの保ち方が多様化しているという話がありましたが、会社員のキャリアにおいても同じようなことが起こっていますよね。一昔前は昇進が全てな時代でしたが、今はキャリアの築き方も多様化しています

岡田氏: 現場にい続けたいという人は増えていますよね。みんながみんな管理職を目指すべきだとは思いませんが、会社としては適性のある人にはぜひ選択肢にいれてほしい。

 ただ、ワークライフバランスを重視する傾向が高まっている現在、今の仕事で十分楽しいのに、わざわざ大変そうな管理職になるってどうなの? と思う気持ちは分からなくはありません。そこは、管理職である僕たちが、部下から見て「憧れの存在」になりきれていないのが問題だと思っています。

佐藤氏: 岡田さんとしては、管理職になる前と今どちらが楽しいですか?

岡田氏: どっちも楽しいですよ。昔は自分の担当したアーティストがヒットしたらうれしかったのですが、今は所属アーティストだけでなく、スタッフからスターが出るのがうれしいと感じます。今の立場になってからは、より俯瞰で物事に携われるのが楽しいし、うれしいですね。

佐藤氏: 部下がヒットを手掛けるのってめちゃくちゃうれしいことですよね。現場にいたときは、1個のビルを完成させることにこだわっていたけど、管理職はそのビルを立てる街全体を意識しなきゃいけない。もちろん責任も大きいけど、その分楽しさがケタ違い。これは管理職になってみないと分からないかもしれない。

管理職の楽しみは「街全体を意識すること」

岡田氏: そうそう。自分だけだとできることは限られているけれど、部下の人数が増えれば増えるほど、できることも増えていきますからね。僕はそのことを上の人たちから教えてもらったから、管理職に憧れを持ちました。今度は僕が次に続く人たちに伝えていく番。そのためにも、部下との対話は大事にしていきたいですね。

(終わり)

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