働かないおじさん、管理職にならない若者……現代は、責任を負い、才能を育てるマネジャーへのイメージが著しく下落している。そんな中、不確実性が高い芸能界やアスリートの世界でも結果を残す名物マネジャーはどのようなことを意識してマネジメントを行っているのか――。多くのエンターテインメントビジネスのプロデュースを手掛けるFIREBUGの佐藤詳悟CEOが、今気になるマネジャーを訪ね、才能を発掘する方法、育てる方法、軌道にのった後のマネジメントの在り方を議論する。
リーダーとしてチームを率いる役目を背負うマネジャー。時には、思うように成果を出せず悩むメンバーと向き合ったり、そもそもモチベーションの低いメンバーを鼓舞したりする必要もある。自分とは価値観も常識も異なる他人と向き合い、さらに成果もあげなくてはならない――。こうしたマネジメント業務の難しさを感じている人は少なくないだろう。
そんな中、独自のマネジメント力で功績を上げ続ける敏腕マネジャーがいる。吉本興業でナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号、ロバートのマネジャーを務めた後、FIREBUGを立ち上げた佐藤詳悟氏だ。
彼が率いるFIREBUGでは著名人の才能を拡張させる“タレントエンパワーメントパートナー”として、多くのタレントのプロデュース戦略を手掛けるほか、企業向けにタレントを軸としたコンテンツを中心にマーケティングソリューションを提供している。
本連載では、佐藤氏が今会いたい“敏腕マネジャー”と対談し、メンバーのモチベーションを上げたり、才能を開花させたりするヒントを探っていく。
第2回目となる今回の対談相手は、名だたる邦楽アーティストの作品を多数手掛けるユニバーサル ミュージックの邦楽レーベル「EMI Records」のマネージングディレクターを務める岡田武士氏。これまで新人からベテランまで幅広いアーティストを担当し、現在は多くの部下を抱える岡田氏に「本音を引き出すマネジメント術」を伺った。
佐藤詳悟氏(以下、佐藤氏): 僕と岡田さんは、実はもともと友人なんです。ただ、これまで飲みにいくことは多々ありましたけど、仕事の話ってほとんどしたことがないですね。今更ですが、どんなお仕事をされているか教えてください(笑)。
岡田武士氏(以下、岡田氏): はい(笑)。現在は、ユニバーサル ミュージックのEMI Recordsでマネージングディレクターをしています。いわゆる“レーベルヘッド”ですね。
佐藤氏: そういえば、EMI Recordsのトップに最年少で就任したと業界内で話題になっていましたよね(当時34歳)。レーベルヘッドになるまでは、どんな経験を?
岡田氏: 2006年に新卒入社してすぐの頃はCDの営業をしていました。そこから約8カ月で異動し、携帯電話向けの配信サービス事業に携わっていましたね。僕が異動してから1年後くらいにGReeeeNの『キセキ』や青山テルマ feat. SoulJaの『そばにいるね』がダウンロード数でギネス記録を出して。ちょうど音楽業界にもデジタルの波が来始めた時期でした。
それからレーベルに異動して宣伝担当をしたり、またデジタル部門に戻ったり。今のポジションについたのは、18年からです。
佐藤氏: アーティストの担当はどなたを?
岡田氏: 一番関わっていたのはC&Kですね。レーベルの現場にいたときはがっつりプロモーションに関わっていたので、密接にコミュニケーションをとっていました。今は個別の担当はないですけど、新人アーティストから松任谷由実さんや松田聖子さんのようなキャリアの長いアーティストまで、アーティストが活動をする際にお話をさせていただくことはあります。
佐藤氏: 超大御所……! EMI Recordsの中には、デビューしたての若手アーティストからユーミンさんや聖子さんのような超大御所までいると思うのですが、経歴やキャリアによってマネジメントの仕方は変えていますか?
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