なぜそんなことが言えるのかというと、これまでもそんな企業が多くあるからだ。その代表が、鳥貴族だ。
そんなことを口走ると、「はあ? バッカじゃないのか! 鳥貴族なんて値上げで大失敗した企業だろ」なんて罵声が飛んできそうだ。確かに世間的にはそういうイメージが強く、このときのことはいまだに「鳥貴族ショック」なんて語り種になっている。
鳥貴族は2017年、それまで28年続けてきた「280円均一」から大きく方針転換して、298円に値上げした。ご存じのように居酒屋ビジネスは典型的な低賃金重労働で、これからの物価上昇を踏まえれば、人件費をアップしていくためにも致し方がない値上げだと、鳥貴族は説明した。
42年ぶりに値上げをして称賛をされた「うまい棒」ほどではないにしろ、28年も「280円均一」を続けてきたわけだから、「そうか、そうか、これまでよくがんばってくれたね」と労いの言葉が多く寄せられそうなものだが、現実は厳しかった。ネットやSNSでは「非国民」と言わんばかりに、以下のような厳しい批判があふれた。
「もう行きません、さようなら」
「大ショック、庶民の味方だと思ったのに裏切られた」
実際、客数も低迷した。価格改定をしてからなんと10カ月連続で既存店客数が前年同月比マイナスになったのである。これを受けて、経済評論家やコンサルタントたちは鬼の首を取ったように、この値上げを「失敗」だと断罪した。中には、「客数を回復させるためには価格を下げるべきだ」と主張をするような人も多かった。
しかし、そんな「忠告」に鳥貴族は耳を貸すことはなかった。ボロカスに叩かれながらも決して価格を下げることはなく、それどころか22年4月には「319円」とさらなる値上げに踏み切ったのだ。
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