多くの企業では、懲戒事由に「刑法その他の法令に定められた犯罪行為をしたとき」との定めをすることが多いです。前述の通り、替え玉受検は不法行為に該当する場合がありるため、この規定を根拠に懲戒を進めることが可能です。
また、懲戒解雇に該当する事由として「重要な経歴を詐称して入社したもの」などの文言を入れている企業も多く見受けられます。Web実施の適性検査が求められる業務と密接に関連がある場合には、「重要な経歴」を詐称したことなり、懲戒解雇など重い処分を下すことも可能であると考えられます。
ただし、適性検査が単なる面接の初期段階における選考方法の一部であり、その後数次の面接をクリアして入社しているような場合には、重要な経歴とはならないと判断されることもあるため、懲戒解雇とする場合には慎重な検討が必要です。
なお、不正発覚が入社前であれば、採用内定を取り消すとことが考えられます。採用内定の法的性質は、始期付解約権留保付労働契約です。簡単に言うと、「採用が決まった年の翌年4月1日など労働契約が開始する時期は決まっているが、それまでの期間においてやむを得ない事由が発生した場合には内定を取り消すことがある」ということです。
なお、留保された解約権を行使できるか否かについて、判例ではその判断基準として「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる(大日本印刷事件 最高裁二小 昭和54年7月20日判決)」と示しています。
Webテストの替え玉受検は犯罪行為となるおそれがあるほか、会社の懲戒事由に該当するものです。テストの内容が業務の性質上必須となるものであれば、重要な経歴の詐称に該当することになりますので、解雇等の対応を検討することになります。
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