サイバーエージェントは1月25日、2023年9月期(22年10〜12月)の決算を発表し、ABEMAの第1四半期の売り上げは、前年同期比34%増の334億円となり、四半期ベースで過去最高を更新した。サッカーワールドカップ(W杯)の全試合放送で視聴者が増え、ABEMAと周辺事業が増収増益となった。藤田晋社長は「メディアとして確立する道筋が見えた」と話した。
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ABEMAを手掛けるメディア事業の営業損益は、W杯の放送に向けた放映権料など関連費用で93億円の赤字となり、四半期ベースでの事業赤字は続いている。広告やゲームなど他事業の業績でカバーし、サイバーエージェント全体としては12億円の赤字に収めた。
W杯放送の影響で、ABEMAアプリのダウンロード数は開局6年8カ月で9200万ダウンロードを記録した。22年11〜12月のW杯期間中でダウンロード数が700万増加したという。
ユーザー動向を見ると、インターネットを使ったサービスの特徴が出た。スポーツの場合、リアルタイムで視聴するスタイルが主流だが、ABEMAユーザーの44%が追っかけ再生やハイライト再生などオンデマンドで視聴(リアルタイム視聴は56%)していたことが分かった。藤田社長によると「広告主から『オンデマンドに広告を出せばよかった』という声も出た」といい「スポーツ中継の新しい形になったのではないか」との見解を示した。
デバイス別の視聴割合では、スマートフォンが43%を占め、最多となった。テレビは、パソコンと同率の24%となり、2位タイだった。開催期間中、ユーザーからは「追っかけ再生が便利」「倍速再生がいい」などが挙がった。藤田社長はW杯放映権の主目的が「ABEMAの便利さとクオリティーの高さを示すことだった」と明かし「地上波デジタル放送並みの画質で放送でき、便利さも、ユーザーにやっと気付いてもらえた」とした。
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