2000年代以降、家電量販店業界は戦国時代のような激しい再編が行われた。10年代以降は、ヤマダデンキ、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、エディオン、ケーズデンキなどが大手上位企業として生き残り、競い合ってはいるが、ある程度すみ分けているような状態が続いていた。
家電量販店の売り上げ上位企業のランキングを見ると、ヤマダが1兆6000億円とダントツの規模だ。ビック以下の各社が7000億円台で「2位グループ」を構成していることが分かる(図1)。
家電量販店の市場規模もPC、スマホなどの普及も一段落した10年代では大きな変動もなくおおむね横ばいであって、シェア競争を「仕掛ける」ような要素にも乏しかったといえる。20年度はコロナ禍による「巣ごもり需要」という追い風で拡大したが、21年度は巣ごもり一巡による反動落ちとなり、22年度もさらに落ち込むことが見込まれる。
そんな業界において、ヨドバシがそごう・西武という箱を活用して、百貨店クラスの超大型店を複数出店するということになれば、2000億〜3000億円の売り上げ増加となるという見方もあり、「2位グループ」の各社はヨドバシの後塵を拝することになる可能性が高い。
売り上げでずばぬけたトップのヤマダといえども、近年は家電売上の伸び悩みを買収した住宅事業や家具の売り上げで補う状況であって、家電売り上げ(デンキ事業売り上げ)は1兆3000億円ほどとなっており、ヨドバシが1兆円近くまで伸ばしてくれば、その差はかなり詰まる。
さらに言えば、ヤマダが店舗展開する地方、郊外の家電市場は人口の減少に伴って、成り行きでいけば徐々に縮小していく。ヤマダはこれまでもカメラ系が本拠地とする大都市ターミナルに大型店を出店して、その牙城に楔(くさび)を打とうとして来てはいるが、その成果が出ているとは言い難い。地方、郊外を制覇することで王者に君臨してきたヤマダにとっても、今回のヨドバシのそごう・西武への進出は大きな関心事であろう。
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