攻める総務

リーガルテックのサービスが増えた 背景に3つのトレンド国内の市場は(2/4 ページ)

» 2023年02月09日 08時00分 公開
[FRONTEOITmedia]

リーガルテック拡大の先駆けは米国

 米国では、X-Techが盛り上がりをみせるよりもかなり前から、法律業務におけるデジタル化のニーズは高く、文書の作成や推敲(すいこう)にIT技術が重用されていました。IT技術のさらなる発展が進んだ1990年代後半以降は、文書作成に限らず、人による契約書への署名を不要とさせる電子署名ソリューションなども出現するようになりました。

 こうした法務業務のデジタル化は、近年ますます加速し、現在では、機械学習を用いたリーガルドキュメントの検索やドラフトレビューを行うサービスも急速な市場拡大を果たしています。弁護士の数が多く、激しい競争にさらされる米国の弁護士事務所では、コスト削減のみならず、サービスの高位平準化を実現すべく、これらのサービス導入が積極的に進められてきました。

 米国がいち早くリーガルテックの導入を牽引してきた背景には、「ディスカバリ(証拠開示)」手続があると考えられます。ディスカバリとは、トライアル(正式な事実審理)に先立ち当事者間で行われる法定外の証拠開示手続です。

さまざまな分野でAI技術の開発が進められている(提供:ゲッティイメージズ)

 1990年代後半より電子メールの利用が本格化すると、開示対象となる証拠の大半を電子データが占めるようになりました。電子データ化された証拠の開示は「eディスカバリ」と呼ばれます。eディスカバリでは、取り扱わなければならない情報量の多さ、証拠となる文書の改ざんの容易さなどから、特殊なIT技術を用いた開示手続を行う実務が定着しています。

 具体的には、証拠の精査と相手方への提出を原本の証拠性を維持した状態で行えるよう、デジタルフォレンジックと呼ばれる技術を用いて、サーバーやパソコンに保存されている文書の保全・収集やデータの処理・分析を実施します。このeディスカバリの分野では、10年代前期よりAIが導入され、現在も競うようにAI技術の開発が進められています。

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