クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ルノー・日産アライアンス再始動 内田CEOの手腕が光った池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2023年02月13日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 ルノーグループ(以下、ルノー)、日産自動車(以下、日産)、三菱自動車(以下、三菱)の3社は2月6日、資本提携の見直しについて説明会を行った。出席したのは登場順にルノーのジャン=ドミニック・スナール会長、日産の内田誠CEO、三菱の加藤隆雄CEO、ルノーのルカ・デメオCEOの4人。

左から日産の内田誠CEO、ルノーのジャン=ドミニック・スナール会長、三菱の加藤隆雄CEO、ルノーのルカ・デメオCEO(出典:プレスリリース、以下同)

 既に1月31日にはリリースが出ており、見直しのポイントについては、概略の発表が行われていた。説明会ではその背景を解説する形になった。

 端的に言えば、これまで構造的な問題を抱えてきたアライアンスがすっきりと整理され、シナジー効果を発揮していかれる形に修正されたといえるだろう。特に日産にとっては極めて大きな果実を得た結果になった。日産ファンの読者にとってはまさに朗報といえるだろう。

 まずは背景である。これがややこしい。日仏の会社法のことが少し分かっていると、この先の話が腹落ちしやすい。というかそれが分からないと、たぶんちんぷんかんぷんになるだろう。

ルノー・日産アライアンスの積年の不幸

 アライアンスの始まりは、もともと、1999年の日産の経営危機に際して、ルノーが救済のために資本を注入したことに端を発するわけだが、ルノーの日産への出資比率は43.4%(当初は36.8%)、逆に日産のルノーへの出資比率は15%。

 成り行き上当然ではあるが、立場の差が大きすぎ、加えて日仏両国の会社法のおかげで議決権の権利関係が極めて捻れた形になった結果、およそ企業のアライアンスとしてはあり得ない不健全さを含んでいた。これがルノー・日産アライアンスの積年の不幸である。

 問題を具体的に書けば、フランスの会社法のおかげで、日産はルノーに対して15%という大量の株式を保有しながらも、全く議決権を持たない“隷属的”な契約になってしまっていたのだ。本来なら立派な大株主になるべき持ち株数である。

 では、日産だけが一方的に不幸だったのかといえば、そういうわけでもない。日産は日産で日本の会社法を活用して、最悪の場合、報復対抗措置を取ると警告していた。ルノーのほうも43.4%もの株を持ちつつ、日産に対してそれにふさわしいガバナンスを効かせることができていなかったのである。

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