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「本物のハンバーガーを伝えたい」 王者マックに“ケンカ?”も仕掛けるバーガーキングの強気な戦略とは?3年連続売り上げ130%以上を達成(3/5 ページ)

» 2023年02月17日 08時00分 公開
[大村果歩ITmedia]

「常に強気」なブランド姿勢

 同社は期間限定商品の開発にも注力している。ビーフパティ3枚とゴーダチーズスライス6枚を使用した「トリプルビーフ・ゲレンデ」や、ビーフパティ4枚、ベーコン4枚、チェダーチーズスライス4枚と野菜を使用した「マキシマム超ワンパウンドビーフバーガー」(22年7月に発売、現在は販売終了)など、大きくてインパクトのある商品を販売してきた。

バーガーキング マキシマム超ワンパウンドビーフバーガー(プレスリリース)

 商品開発では、味や商品名、キービジュアルの背景や商品画像に統一感を持たせ、大胆かつ力強い、ユニークな商品を展開することを意識している。

 「商品開発では、『どんな人が、どのような気分で食べているのだろう』と考え、力強く、楽しく伝えることを意識しています。例えば、トリプルビーフ・ゲレンデも『チーズバーガービッグ』ではなく、『ゲレンデ』と力強く伝えるからこそ面白さや楽しさがある気がしませんか?」

バーガーキング ゲレンデシリーズ(プレスリリース)

 「消費者がブランド姿勢を評価しているわけではないと思います。あくまで自己満足です。常に強がって、頑張ってしまっているバーガーキングの姿勢がお客さまに伝わって、『またバカなことをやっているけど、こういうところが好きなんだよね』『公式がこんなことをするなんて面白い会社だ』と思ってもらえるだけで十分なのです」(野村氏)

バーガーキング 過去にはバーガーキングのご近所物件情報サイト「BK TOWN ROOM supported by エイブル」を提供

マックを意識した広告が大バズり 

 「常に強気」なブランド姿勢は、広告やプロモーションでも意識している。代表的な事例は、20年の秋葉原店の「縦読み」広告だ。バーガーキング秋葉原昭和通り店の2軒隣にあったマクドナルド秋葉原昭和通り店の閉店が決まった際、同社はマクドナルドに感謝を伝えるポスターを掲示した。

 一見バーガーキングがマックをねぎらう感動的なポスターのように見えるが、文章を縦読みすると「私たちの勝チ」という言葉が――。当時はSNSを中心に盛大な盛り上がりを見せた。

 「私たちはあくまで『22年間たくさんのハッピーをありがとう』というポスターを出しただけで、縦読みに関しては『お客さまが自由な発想のもとでそのように感じたのであれば、そうかもしれません』という姿勢です」

バーガーキング マクドナルド秋葉原昭和通り店の閉店が決まった際に掲示したポスター 縦読みにすると……?

 「マックは大手だからこそ、振り向かないという自信もあります。もしここでマックが振り向いたら、私たちの勝ち。私たちは『マックさんありがとう』と、それをネタにしますから」(野村氏)

バーガーキング マクドナルド秋葉原昭和通り店がスケールアップして再出店した際のポスター これも縦読みすると……?

 同社は広告、プロモーションにおいて「ピンをどこに置くか」を強く意識しているという。施策を講じるうえで、「称賛」と「批判」のどちらに寄せるかを吟味する。

 「炎上させるのはすごく簡単です。また、称賛を集めることもそんなに難しいわけではありません。広告費をたくさん使ってCMを打てばいいのですから。

 私たちのように広告費に回せるお金が少ない場合は、『称賛』と『批判』のちょうど真ん中にピンを置くんです。すると、称賛派と批判派の両方からの興味が集まり、バズることができます」(野村氏)

バーガーキング 下北沢での施策 Twitter上での実際のやり取りを広告に

 秋葉原の広告を筆頭に、バーガーキングは度々バズっている印象がある。しかし、実はもっとたくさんの施策を行っているものの、ほとんどが世間に気付かれていないのだという。

 例えば、Twitter上で「バーガーキング与野駅前店が『バーガーキングの駅』みたい」という声があった際、同社はグーグルマップで同店の名称を「バーガーキング駅」に変更。しかし、誰にも気づいてもらえなかったという。

バーガーキング バーガーキング与野駅前店

 また、クリスマスに1人用セット「ぼっちバーレる」を販売した際も、グーグルマップ上で渋谷センター街店を「渋谷ロンリーガイ店」に変更した。こちらは1人だけ気付いてくれたらしい。

バーガーキング ぼっちバーレる

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