亡くなった方のことをああだこうだと言うのは心苦しいが、今回の元社長の謝罪会見はその典型だった。例えば、元社長は繰り返しこのような主張をした。
「レジオネラ属菌は一般細菌で、どこにでもいるという軽い気持ちがあった。それまでもレジオネラ属菌云々で、特別、訴えというか、お客さまからの声がなかったので、かなり安易に考えていた」(産経WEST 2月28日)
あれだけ何度も強調しているということは、元社長は心の底から「レジオネラ菌など大したことがない」と思っていたのだろう。が、一方で、温浴施設などでレジオネラ菌が原因で亡くなる人がいるのも紛れもない事実だ。新型コロナのときもそうだったが、「リスク」というものに対する感度は人それぞれなので過小評価をすれば当然、「安全軽視」「無責任」と叩かれてしまう。
というわけで、謝罪会見ではそういう「地雷」を避けることがセオリーだ。つまり、レジオネラ菌がそれほど危険ではないとかなんだかとか余計なことはいっさい言わず、「私の安全に対する認識が甘かった」という真摯(しんし)な反省を繰り返すだけでいいのだ。
また、お湯の入れ替えの詳細について問われた際も、元社長は以下のように、正直すぎるほど赤裸々に答えてしまっている。
「どういう風にというか、年に2回、盆と正月に4、5日、旅館を休んで整備するので、そのときに念入りにやればいいと。(塩素の注入についても)『入れたきゃ、ちょこっと入れておけ』という感じだった」(同上)
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