ワークマンの「おしゃれシフト」は成功するのか アパレル専門家が指摘する新業態への懸念磯部孝のアパレル最前線(3/5 ページ)

» 2023年03月15日 05時00分 公開
[磯部孝ITmedia]

 そもそもワークマンは、野外での建設、土木作業や工場作業に従事するブルーカラー向けの高機能な製品を安価に販売する点を強みにしていた。それが、一部のインフルエンサーの目にとどまりSNSの口コミなどで広まり、爆発的なヒット商品が誕生するとともに、認知度も上がってきた経緯がある。

 歴史を振り返ると、11年ごろから「WORKMAN BEST」というPB商品を精力的に展開。それまで長くCMモデルとして起用してきた吉幾三から、カジュアルなアウトドアウェアを着た若者が軽快に走って商品を紹介するCMにイメージの刷新を図ったのが16年だ。この辺りから、防寒&防水ジャケットの「AEGIS(イ―ジス)」や「忍セーフティーシューズ」が、バイク愛好者達から支持され始めて、本来の作業服以外の利用者も増えてきた。

ワークマンのPBにおける「柱」ともいえる「WORKMAN BEST」(出所:同社公式Webサイト)

 その他、これまでにない客層の開拓に功を奏したのが「ブロガー向け新作発表会」である。16年ごろからスタートしており、発信力のあるブロガーたちを集めてワークマンの新作商品の機能やデザイン性を確認してもらって、発信してもらうことを狙いとしている。

 このころに女性ユーザーの意見を取り入れて開発した「レディフィット」というブランドも立ち上げて、本来の作業服とは縁遠い女性をターゲットにした商品展開を始めた。ただし、レディフィットというネーミングは、現在は見当たらない。違うブランドに引き継がれていったのかは定かではないものの、女性客の定着化に向けて長らく取り組んでいることは強調しておきたい。

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