マーケティング・シンカ論

データドリブンセールスで重要なことは? データに向き合える体制を構築することデータドリブンセールスを考える(4/4 ページ)

» 2023年03月29日 08時00分 公開
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データの流れ図に落とし込む

 最後に、集大成として「データの流れ図」を「データソース」「データレイク」「データウェアハウス」「データマート」「ダッシュボード」そして「分析ユースケース」といった階層構造を持たせた形で作成していきます。

Point : データを階層別に管理するメリット

 データを階層別に管理すると「データレイクはデータ管理部門が主体となりデータを確実にためる」「ダッシュボードはUXチームがユースケースに合わせてデザインする」などデータの所在・担当者・目的が明確化され、各チームは自分たちのKPIにあった作業に専念できるようになります。

 流れ図は前回の連載で紹介した「分析ユースケース」を先に考え、最下流にデータを受け止める形で配置します。今あるデータから考えてしまうと、焦点のぶれたレポート出力など、本当にほしい分析のためのデータ基盤から遠ざかってしまいます。分析ユースケースの実現に向けて、データ不足の問題や質の問題がある場合、それを改善するタスクを計画・実行していく手順がよいでしょう。

Point:データレイクを導入するタイミング

 今回はセールスを題材にしていますが、昨今ではセールスに特化したCRMにデータを蓄積しているケースも増えているかと思います。このようなケースで留意したいのは「分析したいデータが1カ所にためられているか」という点です。

 もし、分析ユースケースの対象でCRMの外に蓄積されたデータがある場合、組織全体で利用するデータレイクの導入を検討するのが望ましいでしょう。

UXが設計したセールスダッシュボードの例(この実現に向けてデータを集めていく)

カスタマーサクセスにつながるデータドリブン組織を目指して

 これまで5回に渡り、データドリブンセールス実現にむけた考え方をさまざまな視点から紹介してきました。

 重要なのは、データを中心に据えて、経営・ビジネス・テックなどの部門が横断的にデータに向き合える体制を作ることです。そして、分析ユースケースを実現するデータ基盤の構築(Build)、数値の計測(Measure)、分析結果からの学習(Learn)を通して、新たな仮説と分析ユースケースを組み立て回していける循環型のプロセス構築を目指しましょう。

著者プロフィール:

松下 智弘

株式会社モンスターラボ ソリューションアーキテクト(エンジニアリングマネージャー)

 SIベンダーにて組込みエンジニアとしてキャリアをスタート。

 ここ数年はIoT系の新サービスを自ら立ち上げ、販売戦略策定・顧客訪問・セミナー開催・アーキテクチャ設計などサービスリリースに必要な工程を幅広く経験した後、22年にモンスターラボに入社。モットーは「クライアントのご要望を最適な形で実現する」


著者プロフィール:

佐野 義彰

株式会社モンスターラボ データ&バックエンドエンジニア/テックリード

 ベンチャー企業でキャリアを開始。大手SIerや中小ベンダーでも経験を積み、さまざまなソフトウェア開発に従事。その後フリーランスとして技術の幅を広げるも、再びチームで働きたいと考え、2021年にモンスターラボにデータ&バックエンドエンジニアとして入社。要件定義から開発まで、テックリードとして携わりながら、社内のデータエンジニアリング文化醸成にも努める。最近の趣味はいちごの栽培。emacs lover。


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