「部下に残業させられない」と犠牲に──しわ寄せを受ける管理職のため、会社がすべき2つのこと管理職にこそ「働き方改革」を(3/3 ページ)

» 2023年03月30日 06時00分 公開
[土井裕介ITmedia]
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管理職が本来の仕事をするために

 筆者は日々、クライアントから相談を受けていますが、どの企業も管理職の長時間労働に頭を悩ませています。現場の管理職は、上からは「時短しろ・効率化しろ」、下からは「もうできません」といった板挟み状態になっているのではないでしょうか。自分自身で仕事を持ち帰ることや、部下に対して仕事の持ち帰りを容認する、退勤の打刻後に仕事をさせるなど弊害がでていることも考えられます。

kanri 板挟み状態の管理職

 部下に対して持ち帰り残業を命じることや不正な打刻を指示したことが発覚した場合は、社内で降格などの処分を受けることが考えられます。また、管理職は労働基準法上の使用者として判断されることもあり、悪質だと判断された場合には最悪、労働基準法違反の当事者として書類送検されてしまうケースもあるのです。

 繰り返しになりますが、管理職の本来の仕事は、部下の仕事を巻き取って何とか業務を回すということではなく、生産性を上げる仕組みを作る側に回ることです。そのためには本来やるべき仕事ではない業務を洗い出した上で、マネジメント業務に代替していけるかが肝となります。

kanri 本来やるべき仕事ではない業務を洗い出したうえで、マネジメント業務に代替していけるかが肝

 また、代替していく過程の中で、部下に対して一気に変革させようとすると「あれもこれもできません」など反発が起こることも考えられます。なぜ今の状況を変えなければならないのかを丁寧に説明しつつ、少しずつ変革していくことが成功するためのコツだといえるでしょう。

著者紹介:土井裕介(大槻経営労務管理事務所 OS事業部 次長)

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特定社会保険労務士。1980年1月12日生まれ。2007年11月に社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所入所。2010年に社会保険労務士登録。2013年に特定社会保険労務士付記。数名規模から数千人規模の事業規模、業種ともさまざまなクライアントを担当し、サテライト勤務や在宅勤務をはじめとしたテレワークを生かした働き方のアドバイスを得意とする。


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