従業員は、雇用契約を結んでいる以上、就業時間は職務専念の義務があります。そのため、本業の業務時間中に副業をすることは労働契約不履行になり、もちろん懲戒案件です。また、深夜の副業がたたり、本業中に居眠りやミスの連発など業務遂行性が著しく低下した場合も、服務規律違反として懲戒の対象になり得ます。
副業はどうしても本来休息にあてる時間を削って働くので長時間労働を助長し、体調管理が難しい部分があります。あくまでも本業あってこその副業です。時間と体調の管理は自律していくことが重要になります。
そして企業には従業員を雇用する上で安全配慮義務があります。従業員の副業を含めた全体の業務量や労働時間を常に把握して、必要な配慮をしなければなりません。健康問題や長時間労働の危険がある場合、安全配慮の部分から副業を制限・禁止する規則を定めている企業も多いです。
そういった中で、「副業できる余力があるなら本業を頑張れ」という状況、心情が出てくる場面もあるでしょう。本業もままならないのに副業されても中途半端な人材しか育ちませんし、副業に肩入れしすぎて、本業に支障が出ては元も子もないからです。
成果を出すために必要なのは本業の業務量を増やすことなのか、副業で新たな知見を増やすことなのか、その時期は今なのかを将来的な視点で見極め、本人と随時話し合いながら進めていく必要があります。
求人媒体を見ると「スキマ時間でOK」「単発高収入」など副業ならではの甘美な言葉が載っています。いい副業の定義は人それぞれですが、選択に当たって自分の目的は何なのか、それは自分のライフスタイルに合致しているのかを軸に考えることが道筋になるでしょう。
冒頭でお話しした彼女は、副業で得た細やかな視点と、一歩先をくみ取るスキルを磨き上げ、現在も服飾系の管理職として活躍中です。
「始めたい」という春の自分の変化にていねいに向き合って、「どうなっていきたいのか」を深く掘り下げていく事が「いい副業」につながるといえるでしょう。
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