正念場迎える「楽天モバイル」 財務戦略に潜む苦難の実情過去最大3700億円の赤字(2/5 ページ)

» 2023年04月02日 07時30分 公開

基地局数はドコモの5分の1

 2020年から本格スタートした楽天の基地局設置ですが、今回の決算発表で公表された最新基地局数は5万2000局です。総務省の「令和4年度携帯電話及び全国BWAに係る 電波の利用状況調査」によるNTTドコモの国内基地局数は、4Gだけでも約26万局あり(KDDIは約20万局、ソフトバンクは約17万局)、楽天はそのわずか5分の1なのです。

photo 楽天モバイルの基地局数(出典:同社の決算資料)
photo 各社の基地局数(出典:総務省の資料)

23年は3000億円、巨額投資続く 上場で調達?

 決算発表で三木谷社長は基地局整備費について、23年は22年同様3000億円を見込みつつも24年からは投資金額が大幅に減るとしています。しかし先行3キャリアに伍して戦うためには基地局数で圧倒的に少ない状況を早急に解消していく必要があり、かつ5G・6G対応も待ち受けているわけで、この先も巨額の投資は続くと考えるのが妥当と考えます。

photo 楽天モバイルの整備費(出典:同社の決算資料)

 一方で「グロスの有利子負債を増やす予定はない」と宣言しており、年間3000億円もの投資資金をいかに調達していくのかが、大きな問題です。今確実に見えているのは、楽天銀行の株式公開です。

 4月21日の東証プライム市場への上場が東京証券取引所から承認され、これは正式に決定しました。楽天は今回、保有株式の約3割を売り出し、最大で1000億円超を調達できる見通しとのことです。さらに楽天証券についても「早期のIPOを目指す」としており、できれば23年中に実現して、資金の足しにしたいという思惑がみてとれます。

photo 東証プライムへの上場が決定した楽天銀行

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