吉野家の玉ねぎのように、製造過程で生じる廃棄食材や食品残渣、規格外および出荷調整による余剰農作物を同社は「かくれフードロス」と呼んでいる。
一般的に知られるフードロスは、製品になったあとの売れ残りや食べ残しなどを指す。日本では年間約600万トン発生し、課題視されている。かくれフードロスはフードロスの定義には含まれておらず、その量は年間約2000万トン以上。フードロスの約4倍ある。
「かくれフードロスは野菜をした処理したときの破材、規格外野菜、ワインなどの搾りかすなどさまざま。現状は2000万トンとしていますが、これらは追跡できている数字です。生産調整や規格外品など、畑で腐らせてしまうものを考慮すると、もっと大きな数字が捨てられている実情があります」(加納代表)
かくれフードロス削減に向けて、同社は過熱蒸煎機を用いてさまざまな食材の乾燥・殺菌テストを実施してきた。その数は合計87品目に上る。
導入を検討している企業も多い。あるメーカーでは、キャベツの芯などの破材を過熱蒸煎機でフレーク状にして、ギョーザの餡に入れることを検討中。過熱蒸煎機で乾燥した野菜は水分を吸わせるとシャキシャキとした食感に戻るのだ。
「これまで実験した中で1番おいしかったのは玉ねぎとしいたけです。しいたけは現在導入の実績があり、プラントベースフードに活用しています」(加納代表)
「もちろん、過熱蒸煎機と相性が悪い食材もあります。フリルレタスやグリーンリーフは水分量が多いため、過熱蒸煎するとほぼなくなってしまいます。また、麦焼酎のかすなどは、おいしくないですね。人間が食べるにはおいしくない食材は、養殖魚や家畜のえさに活用したいと考えています」(加納代表)
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