人口が急速に減っている日本で「当たり前」の現象が進んでいる。全土にインフラのように張り巡らされたサービスや店舗網が続々と「縮小」に舵(かじ)を切っているのだ。
分かりやすいのは、宅急便だ。
「世界一」と称賛されることも多いわが国の宅配便サービスの中でも、外国人が目を丸くして驚くのが「翌日配達」だ。雨が降ろうとなんだろうと次の日に必ず荷物が届く。もし届かなかった場合、利用者は「カネ返せ!」とドライバーにブチギレできるほど、日本では当たり前となっているサービスだ。
しかし、この「当たり前」が徐々になくなっていく。ヤマト運輸は4月18日、ドライバーの負担軽減につなげるために「翌日配達」のエリアを6月に縮小すると発表した。競合が追随するだけではなく、このような動きはどんどん加速していく可能性が高い。
ご存じの方も多いだろうが、物流業界ではドライバー不足が深刻で労働時間の上限規制などが行われることによって、国内の高度に張り巡らされた物流網や宅配サービスが破綻するのではないかという「2024年問題」も指摘されている。
先日、リクルートワークス研究所が、2040年には1100万人分の労働力が不足するという試算を発表したように、これからの日本でドライバーの負担が重くなることはあっても、軽減されていくことなどあり得ない。ということは、今回のような「サービスの縮小」を続けていくしかないというわけだ。
そんな「縮むニッポン」においては、地域の人々の暮らしを支えるインフラまでも維持ができなくなってくる。既に日本のどこにでも当たり前にあるものがすさまじい勢いで消えている。
それは、ガソリンスタンドだ。
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