ローカル5G「安全神話」に異議あり 広がる導入に潜む誤解とリスク世界を読み解くニュース・サロン(3/3 ページ)

» 2023年06月15日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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日本国内でも拡大するローカル5G

 CTOneは22年から本格的にビジネスをスタートしており、現在、台湾だけではなく、韓国、シンガポール、ドイツ、スペイン、そして日本でも導入企業が増えている。例えば、台湾では桃園空港も同社のシステムを採用しているし、半導体関連企業などもCTOneとともにローカル5Gを作り上げているという。

 日本では、19年に総務省がローカル5Gを導入する際のガイドラインを策定。さらに、20年に始まった法人税額から控除を受けることができる「5G投資促進税制」も、当初の予定であった21年度末までの期限を延長して、24年度末まで活用できるようになった。とにかくDXの旗印のもと、ビジネスを飛躍的に変える可能性があるローカル5Gの普及に力を入れているのである。

 すでに国内では企業だけでなく、自治体などでも導入が進む。通信キャリアに依存せずに利用できることもあって、農業から産業用施設、インフラ施設などで活用されている。また病院や教育施設、私鉄駅、空港、高速道路のメンテナンス、スポーツ大会の会場やコンサート会場などでも導入が検討されている。

5g 国内では企業や自治体などでも導入が進むローカル5G(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 今後はローカル5Gの導入がさらに広がっていくと予想される。官公庁や自治体の施設にも、DXとして5Gが使われていくことになっていくはずだし、軍や防衛関係でも導入されていくことになる。そうなれば、CTOneのような5G通信を監視してくれるソリューションが不可欠になる。ファンCEOも、そこに同社が通信の安全を提供することができるビジネスチャンスを見ているという。

5g ローカル5Gの拡大とともに、それを監視してくれるソリューションが不可欠になる(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


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