長引いたコロナ禍もようやく収束の兆しが見える中、インバウンド需要拡大や、全国旅行支援などで活気を取り戻している旅館・ホテル業界のニュースが目立つようになりました。旅館・ホテル業界の経営状態も良くなっていると感じる人も多いかと思いますが、必ずしも楽観視できる状況ではありません。
帝国データバンクが2022年に発表した「旅館・ホテル経営業者の動向調査 (2021)」によると、月商に対して借入金などの有利子負債が何倍にあたるかを示した「有利子負債月商倍率」は、コロナ禍前の19年は全体平均で12.45倍でした。一方、コロナ禍に伴う借入金が増加したため、21年12月には30.13倍にまで膨らんでいます。さらに年商1億円未満規模の企業の有利子負債月商倍率は55.56倍とさらに大きく悪化しています。以前から旅館、ホテル業界の課題であった「過剰債務」が、コロナ禍により深刻化している状況がうかがえます。
さらに、旅館・ホテル業界では先ほど述べた財務面の課題だけではなく、「人材不足」も深刻化しています。全業種を対象とした人手不足に対する調査(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査2023年1月」)においても、これらの業界で人材不足を感じている企業の割合は77.8%と、全業種で最も高い数値となっています。
そんな厳しい状況ですが、革新的な取り組みを数多く実施し、業績を安定させている旅館もあります。今回は、1806年に創業した老舗旅館「古屋旅館」(静岡県熱海市)における事例を紹介します。
経営コンサルティング会社「スリーウェルマネジメント」代表の三ツ井創太郎が、古屋旅館17代目の代表である内田宗一郎氏にお話を伺いました。
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