なぜ、新卒の応募者数が数倍に? 熱海の老舗旅館が本気で取り組んだDXの全貌業務改善(2/6 ページ)

» 2023年06月20日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

熱海の老舗「古屋旅館」

 熱海駅まで徒歩12分の熱海市中心部に位置する全26室の温泉旅館「古屋旅館」は創業から200年を超えています。一方で「海が見える客室が無い」など集客要素としては決して優位な施設環境ではない古屋旅館ですが、親子何代にもわたって通うファンのお客さまも多く、老舗人気旅館としてしての地位を確立しています。

 熱海市内には合計で6900室以上の宿泊施設があるといわれています。こうした厳しい競争環境の中で、古屋旅館はどのようなDXを進めたのでしょうか。その取り組みに関して内田社長は次のように説明します。

古屋旅館17代目社長 内田宗一郎氏

 「私は大学を卒業後、都市銀行に就職して5年間は銀行マンをしていました。その後、28歳で家業の古屋旅館に戻りました。実家の事業ですので仕事の勝手は、幼い頃から間近で見ていて分かっているつもりでしたが、実際に働いてみると分からないことばかりで、最初は本当に苦労をしました。そんな中でも、熱海の先輩経営者の皆さまや、多くのスタッフに支えられ2015年、42歳の時に古屋旅館の社長に就任できました」

 徐々に旅館での仕事に慣れてきた内田社長は、これまでの老舗旅館経営のセオリーでは考えられてこなかったさまざまな経営改革に取り組んでいきます。

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