そんなパインアメが突如、地元テレビ局の番組がきっかけで脚光を浴びた。在阪準キー局の毎日放送(MBS)が放送する「せやねん」出演時に、岡田監督がパインアメを「好きなあめ」として紹介。SNS上で話題となったことを受け、同社は岡田監督にパインアメ1000粒を手紙を添えて発送した。
その後、球団は快進撃を続け、パインアメ差し入れ後の勝率は7割に達したとの報道も出ているように、パインアメは勝利を呼び寄せる縁起ものとして、優勝を願うファンも試合観戦用に購入するようになったという。
優勝マジックを順調に減らし、「1」となった9月13日。公式ECサイトに大量の注文が殺到した。女性メインだった購入者層も、今回は男性の大量購入が目立ち、中には1人で100袋購入した人もいたという。ECサイト経由の注文は工場直送ではなく、本社から社員が手作業で梱包しているが、あまりの注文量に対応が追い付かなくなり、同社はECサイトでの注文の一時停止を決めた。
同社の広報担当者は「パインアメはスーパーなどでの販売が大半で、通販ではほとんど買われなかった。ここまでの反響になるのはもちろん、注文停止になるのも恐らく初めて。注目してもらって非常に光栄だが、うれしい悲鳴」と話す。
同社は2020年に多額の建設費を投じ、32年ぶりに新工場を建設。生産量を増やしている。同社広報は「現在、工場をフル稼働させて生産している。頂いている注文に対応し、売り上げ拡大を図っていきたい」と意気込んだ。
18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神タイガースだが、日本一からは38年前にまでさかのぼる。当時、岡田監督は主力選手として球団初の日本一に導いた。元レジェンド選手はクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜き、監督として球団2度目の栄冠に導くことができるか。その鍵を握っているのは、大阪の中小企業が作り出すロングセラー商品かもしれない。
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