連載1〜3回でAIを営業組織に組み込むハードルと導入までのアウトラインを解説してきたが、実際AI×セールステック先進国である米国やドイツではどこまで進んでいるのか。また、どのような効果が出ているのか、日本企業はなにを参考にすべきなのか。
元SAPジャパンのバイスプレジデントで、現在富士通SVP Japanリージョン オファリングセールス本部長の小松新太郎氏とグーグルジャパンで営業統括部長、freeeで営業統括役員を歴任したMagic Moment代表 村尾祐弥氏が解説します。
村尾: 小松さんはOracleをはじめSAPジャパンのバイスプレジデント、キリバ・ジャパンの社長を経て現在富士通にいらっしゃいますが、キャリアの大半を外資営業のマネジメントに携わってきましたよね。わたしもグーグルジャパンで営業統括部長をしていたこともあり、今でも当時のメンバーと話す機会が多いのですが、少なくとも10年ほど前にはAIによる簡単な業務自動化は存在していたように思います。実際現在の外資企業はどこまでAI活用が進んでいるのでしょう。
小松: もちろん一概には言えませんが、皆さんが知っているような外資系企業ではすでに活用事例が出てきています。実際、雑務的なものは全て標準化してAIで自動化していたり、AIが次のアクションをレコメンドしたりすることで、経験の少ない新人営業からのアプローチも反応率が担保されるなど、実用化が一般的になりつつある領域もあると思います。
これらの企業に共通するのは、同じ物差しで物事を判断するために組織内に単一の「全世界共通の基盤」があることです。CRMなどの活用によって、AIに学習させるためのデータがすでに準備できている状態です。
一方、日本ではCRMを導入していても、ほとんど活用されていないケースが多いですよね。契約取得後の手続きのためのオーダリングツール止まりで、営業活動の川上から川下までのデータを蓄積して活用するといったことはできていない印象です。 AI活用は案件発生からクローズ、またそれ以降の経緯が正しくデータとして取得できていることが大前提です。それがあって初めて、AIがデータをもとに思考したりレコメンドを出したりできるわけです。
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