出店スピードを見ると、22年は2カ月で5店舗にとどまっていたが、23年1月は51店舗に。その後も勢いは衰えず、48店舗、48店舗、48店舗、71店舗と……二桁の数字が並んでいる。右肩上がりのグラフを目にすると、第三者は「ものすごい勢いだなあ」と感じられるかもしれないが、当事者は違った見方をしている。
店をもっと増やしたいのに、増やせない――。こうしたジレンマを抱えていたのだ。どういうことかというと、スーパーの中には冷凍食品にチカラを入れているところがあって、什器が品薄状態に。また、食材の調達にも悩まされる。
「ギョーザの場合も食材の調達に苦労しました。ただ、『〇〇がない』となっても、別の県や海外で手に入れられたのでなんとかなりました。ラーメンの場合、モノによっては調達ができなかったので、売りたいのに売れないことがありました」(担当者)
「日本ラーメン科学研究所」の看板がどんどん増えているわけだが、どのくらいの規模を考えているのだろうか。答え「年内に1000店舗」。これまでの店舗は雪松の中に“居候”のような形で展開してきたわけだが、そろそろ限界が近づいてきている。雪松の店舗数だけでは足りないので、今後は「研究所だけ」の出店を予定しているそうだ。
それにしても、なぜそんなに急いで店を増やしているのか。個人的には「雪松の経験があったから」ではないかと思っている。冒頭で紹介したように、ギョーザの無人店舗はここ数年でものすごい勢いで増えている。その背景には「雪松が人気のようだ。ウチも同じようなことをしよう」といったところが増えたことが大きい。
「ウチも同じようなことをしよう」と思って、実際に出店できたことがポイントである。店舗はシンプルなつくりなので比較的安くすむ。人件費はかからず、運営コストは家賃や電気代だけ。ギョーザもラーメンも基本的には同じビジネスモデルなので、「もうかっている」となれば、当然、他社も参入を考える。
研究所としては、同じような店がぽこぽこできる前に、少しでもリードしたい気持ちがあるはず。ラーメンの麺は“のびて”しまうとおいしくなくなってしまうが、出店スピードが“のびて”しまうと、他社にとってはおいしくなってしまう。
「ラーメン無人販売」秋の陣が、ひょっとしたら始まるかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング