年間82万部を売り上げ、累計販売部数が1000万部を超えた「ほぼ日手帳」。発行元はロールプレイングゲーム「MOTHER」シリーズの生みの親として知られるコピーライターの糸井重里が代表取締役社長を務める株式会社ほぼ日だ。
累計販売部数が1000万部を超えた「ほぼ日手帳」。2024年版のMOTHERシリーズ。©Nintendo / SHIGESATO ITOI / APE inc. ©1994 Nintendo / APE inc.手帳市場の歴史自体は古く、国内で約4割のシェアを占める高橋書店の手帳や、1949年以降70年以上の歴史を持つ日本能率協会マネジメントセンターが発行する能率手帳が有力だ。そんな中、ほぼ日は2001年10月に「ほぼ日手帳」を発売し、同市場に新規参入した。デジタルへの移行が進む23年現在でも、前年比30 .3%増という売り上げを叩き出している(2023年8月期 第3四半期 決算説明資料より)。国内・海外ともに成長していて、海外では特に北中米(67.5%増)とヨーロッパ(104.5%増)で拡大しているという。
年々スマホなどでのスケジュール管理が進む中、一見は時代に逆行しているようにもみえるのに、なぜなのか。
「ほぼ日手帳」が登場した01年当時でも、手帳のデジタル化の未来を予見する動きはあった。いったいなぜ、21世紀になってから紙の手帳に新規参入したのか。狙いはどこにあったのか。ほぼ日代表取締役社長の糸井重里さんと、取締役の小泉絢子さんに聞いた。
糸井重里(いとい・しげさと)株式会社ほぼ日 代表取締役社長。1948年生まれ、群馬県出身。コピーライターとして一世を風靡し、作詞や文筆、ゲーム制作などでも活躍。98年に毎日更新のWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」創刊。『ほぼ日手帳』をはじめ、AR地球儀『ほぼ日のアースボール』、「人に会おう、話を聞こう。」をテーマにアプリ・Webでお届けする『ほぼ日の學校』など多様なコンテンツの企画開発を手掛ける(以下、糸井社長と小泉取締役の撮影は斉藤順子)
小泉絢子(こいずみ・あやこ)株式会社ほぼ日 取締役。学生時代からアルバイトでほぼ日に勤務した後、2001年4月に入社。01年に発売したほぼ日のロングセラー商品「ほぼ日手帳」を、立ち上げから担当する。08年11月に事業支援部長に就任した後、12年12月に商品事業部長に就任。13年6月に取締役に就任――02年版から始まった「ほぼ日手帳」は、20年以上がたった今でも前年比30%増、82万部と売り上げを拡大し続けています。予定をWebで管理する人も少なくない中、なぜ伸び続けていると分析していますか。
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