「紙の名刺に、終焉が訪れるかもしれない」
読者の皆さんは、そんな未来を想像できるだろうか。多くのビジネスパーソンは新入社員として会社に入社した際、当たり前のように名刺交換のマナーを学び、社会へと出たことだろう。そんな当たり前が覆るかもしれないのだ。
DXサービスの企画・開発・販売を行うSansan(東京都渋谷区)が、名刺の取り込みやプロフィールを作成できるキャリアプロフィールアプリ「Eight」をリニューアルした。スマホをかざすだけで名刺交換ができる「タッチ名刺交換機能」を追加したのだ。
これまでは交換した紙の名刺をデジタルで管理するアプリだったが、新機能の登場によりスマホ1つで名刺交換から名刺管理まで可能なアプリへと進化した。
だが名刺交換がスマホで完結するということは、紙の名刺が必要なくなるということ。Sansanはどう考えているのだろうか。
同社は、名刺や顧客との接点、企業などの情報を一元管理できる営業DXサービス「Sansan」や、印刷、押印、受け取りをはじめ契約の締結に必要な対応を行う「Contract One」、あらゆる請求書をオンラインで受け取れるインボイス管理サービス「Bill One」などを展開。
Sansanが名刺アプリ「Eigth」をリリースしたのは2012年。交換した紙の名刺を撮影してアプリ上で管理するだけでなく、プロフィールの登録やユーザー同士でのメッセージのやりとりができるSNSの性質も備えたアプリとして提供してきた。
名刺の取り込み枚数が60%まで減少し、大打撃を受けたコロナ禍には、デジタル名刺のQRコードを組み込ませたバーチャル背景を提供するなど、形を変えながらビジネスパーソンの出会いを後押し。その結果、23年のEightへの名刺取り込み枚数はコロナ禍前の103%まで回復。ユーザー数は330万人を突破した。
今回、Eightはスマホをかざすだけでデジタル名刺を交換できる「タッチ名刺交換機能」を追加した。名刺の交換方法は簡単で、文字通り双方がEightのアプリを開いた状態でスマホをかざすだけ。
タッチ名刺交換機能にはBluetoothを使用するため、対応するスマホ機種も幅広い。Eightをダウンロードしていないビジネスマンには、自身のデジタル名刺と同じ画面に表示されているQRコードやURLを読み取ってもらうことで、名刺が確認できるようにした。
「名刺アプリが『名刺のない世界を目指す』と言うと矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、私たちは名刺という概念をさらに進化させたいのです」――と塩見賢治氏(取締役/執行役員/Eight事業部 事業部長)。同社がデジタル名刺を推進する狙いとは?
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