エイチエムシステムズ(東京都新宿区)が運営するオンラインマッチングアプリ「オタ恋」は、StableDiffusionという画像生成AIを巧みに利用している。
同社はAIを駆使して数多くの広告クリエイティブを生成し、2023年半ばから広告コンテンツをX(旧:Twitter)中心に展開している。
Googleの検索ボリューム推移を示す「GoogleTrends」を見ると、「ユーブライド」や「ゼクシィ縁結び」のような婚活サービスが検索ボリュームを減らしている。そうした中ターゲットを「オタク」に絞ったオタ恋は、生成AIを活用した広告が話題になった23年中頃から急激に認知度が高まり、足元ではマッチングアプリ中堅の「Dine」と検索ボリュームで肩を並べている。
同社はAIを活用したクリエイティブが効果を発揮したことによって、有名なタレントやイラストレーターなどの力を借りずともユーザー基盤を数倍に伸ばすことに成功している。本来オタク向けというニッチなはずのサービスが、業界全体のシェア構造にまで切り込みつつある様子が垣間みえ、AI広告の威力を思い知らされる。
では、今後生成AIによって人間が行っていた広告クリエイティブに関わる仕事は、AIに取って代わられてしまうのだろうか。
伊藤園が「お〜いお茶」のCMにAIタレントを抜擢(ばってき)したことも大きな話題となっている。本CMに出演したAIタレントはもはや生成AI黎明期のような、指が6本あったり、本来存在しないはずの関節があったり、といった悪い意味での「AIらしさ」は皆無だ。
コスト面でも、生成AIの広告はタレントのキャスティング費用がかからず、スタジオでの収録やスタッフの人員コストも大幅にカットできる。もちろん、起用したタレントのスキャンダルのリスクも回避できる。今後も広告業界におけるAI活用は増加の一途をたどるだろう。
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