繰り返される「新しい味」と原点回帰には1つ共通点があります。それは「コンセプトがシンプルで単純明快であること」です。消費者にとって理解しやすく、覚えやすいものは記憶に残りやすいため、ブランディングとして成功しやすいのです。
ユーザー体験を考える上でも、ぱっと見でわかりやすく直感的に理解しやすいシステムや体験は、広くユーザーに好まれる傾向があります。複雑で多くの説明が必要なものは、脳が負担と感じたり、活用するまでに時間を要すると判断され、抵抗を感じやすいと言われています。
とっつきやすさという点で考えると、重厚で渋みが強いワインより、軽くて飲みやすさを重視したボジョレーが、ワイン好きではない人にも好まれた理由と近いとも言えそうです。
人は共感を得られると判断すると、その情報を他者に提供する傾向があります。日本人は特に内気な傾向が強いため「勧めても気に入らなかったら」といった感情を強く持っていて、人にものを積極的に勧めないといった実態があります。飲みやすいボジョレーは他者に勧めやすく、人から人へその魅力が伝わっていき流行につながりました。
サービスや製品を開発するとき、思い入れが強ければ強いほど、関係者にしか理解できない複雑さを持ってしまうことがよくあります。成功のために多くの関係者の意見を取り入れ、検討を重ねれば重ねるほど情報が多くなるのは当然です。しかし、それを手にするのはその過程をまったく知らない人であることを意識しなければなりません。
あなたが考えている新しい企画は、その経緯を何も知らない人が興味を持てるほど、そのものの魅力や価値が伝わりやすいものになっていますか?
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