「頑張っているのに、なんで売れないのだろう」と悩む営業は多い。売れない営業には、必ず何らかの「原因」がある。どうしたら「売れる営業」になれるのかエッジコネクションの大村康雄代表が、事例を基にQA形式で解説する。
Q: Aさんは起業して3期目。従業員数は20人ほどになり、経営も安定してきました。営業チームが確立し、Aさんが営業に出なくても営業チームからの売り上げで経営が回せるようにもなってきました。
しかし、Aさんが次の事業への準備に入ろうとした矢先、毎月安定していた売り上げに波が生まれ始め、採用しても離職が相次ぐように……。一見すると、営業チームの古参メンバーは同じ顔ぶれで何か大きな問題が起きたようには思えないのですが、一体何が起こっているのでしょうか。
これまで順風満帆に売り上げを上げていた営業チームに、急にブレーキがかかることがあります。特に、創業間もないスタートアップで、「軌道に乗ってきた!」と社長が喜んでいる矢先に起こるケースが散見されます。このような事態はなぜ起こるのでしょうか? また防ぎようがあるのでしょうか?
成長中の営業チームが失速するのは、これから説明する3ステップの要因があります。
営業チームが成長している、つまりはチームの売り上げが向上することは、営業スタッフに営業力があってこそ成し遂げられていることです。事業拡大にあたっては「同じ成約を獲るなら、どうせなら大口のほうが効率が良い」と、次第に受注金額が上がっていきます。
この事自体は良いことですが、ここで目標金額の適正化 がなされないと「先月大きく稼いだから今月は休もう」などと、成績に波が生まれ始めることがあります。
多くの営業チームでは、単月の成績だけではなく、四半期や上半期など長期の成績でも人事評価が行われます。営業スタッフの営業力が上がり、大口契約で2カ月分の売り上げが1カ月で取れ始めたりすると、受注成績の向上に合わせて目標金額がアップしていない場合、手を抜いても問題ない月が生まれてしまうのです。
大口につながるような商談は、会社側で用意した営業資料などの各種素材だけの力ではなく、各営業スタッフの商談力やトークスキルといった個性も影響するケースが多くあります。すると、受注単価の大口化に成功する一方で、個人の営業力を駆使しなければいけない場面が増え、チームとしての営業スタイルの画一化が難しくなります。つまりは、営業スタイルが属人化していくとも言えます。
受注単価の大口化、営業スタイルの属人化の結果としてもたらされるものが、新人育成機能の弱体化です。
「あんな大口の契約、今の自分で取れるわけがない」「先輩のまねをしようにも、みんな営業スタイルがバラバラで、誰をまねしてよいか分からない」――こんな気持ちになる新人が増えるわけですから、新人育成機能が弱まっていくのは当然の帰結かと思います。
新人育成機能弱体化の前兆として、成績不振営業スタッフの離職が起こります。要は「ついていけない」となるのです。新人が思うのに先んじて「こんな金額稼げるわけがない」「あんな営業スタイルまねできない」「どうすればよいですか? と聞いてもアドバイスがピンとこない」と悩み、離職する営業スタッフが発生し始めます。
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