2022年の動画広告市場は、昨年対比132.2%となる5601億円規模にまで伸長しました。23年には7209億円に達する予測で、今後もさらなる成長が続くと見込まれています(サイバーエージェントの調査より)。
ただ、そんな動画広告の内容面で変化が起きつつあるようです。
動画広告市場の拡大を支えてきた業界の一つにB2B SaaSがあります。動画制作のコスト低下に加え、配信媒体が増加したことによって、SaaS企業の多くがマーケティング手法の一環として動画広告を実施するようになりました。そんなSaaS企業の動画広告の変遷に目を向けると、意外な発見があります。
数年前まではSaaS企業を中心にタレントを活用した広告が多かったのですが、最近になって一気に減りつつあります。一体、動画広告市場でどんな変化が起きているのか。動画マーケティングを手掛けるEXIDEA(東京都墨田区)の塩口哲平副社長が解説します。
先日、このようなツイートがX(旧Twitter)上で話題を集めました。
確かに、ここ2〜3年の間でSaaS企業の各社がこぞってタレントを活用した動画広告を実施し始めました。YouTubeやタクシー広告で目にする機会も多かったのではないでしょうか。
なぜ、タレントを活用するようになったのか。その謎は、SaaS企業の動画広告のトレンドの変化から読み解いていけます。まず、動画広告の裾野が広がり始めたのは16〜17年ごろです。この頃、タクシー広告やエレベーター広告といった広告媒体が新たに誕生しました。多額の予算を使って不特定多数の人に情報を届けるテレビCMとは異なり、タクシーやオフィスビルのエレベーターといった広告媒体は、少額の予算で特定のターゲットに対して配信できます。
SaaS企業のメインターゲットは、決裁者に当たる経営者や役員です。彼らがよく利用するビルのエレベーターやタクシー内で、自社サービスの動画広告を展開するのはマーケティング手法として効果的でした。
もちろん、最初からタレントを活用した動画広告が多かったわけではありません。16〜17年ごろは動画広告を流す企業もまだ多くなかったことから、シンプルに機能訴求に重きを置いたクリエイティブがほとんど。改めて、当時の動画広告をいくつか見返してみましたが、タレントを活用したものはありませんでした。
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