2023年は人的資本元年と言われるほど、人的資本経営への注目度が高まった。人的資本開示の対応は人事部門が行うことが多く、人的資本全般を「人事マター」と認識されがちだが、実は総務にもやるべきことがある。
人手不足による倒産件数が増えている。「需要はあるのに、人手不足により取りこぼしている売り上げがある」という企業も少なくないようだ。根本的には、日本の人口減少が最大の問題として存在している。
一方で、AIやロボットの進化により、ルーティン業務からの解放は進んでいる。それに伴い、企業が差別化を図るポイントが、モノづくりではなくアイデア勝負に移行している。このことから優秀なアイデアマンの確保が必要となり、課題となっている。
人材の争奪戦は激化しており、優秀な人材が確保できなければ、企業は競合優位性を確立できず、継続的な成長がままならない。この意味で、多くの日本企業の最大の経営課題は「人」だ。いかに優秀な人材を採用し、定着を図り、活躍できる環境を整えられるかにかかっている。総務部門は、こうした問題にどう関われば良いのか。
AIが進化し、人を凌駕する局面が増えてきた。チェスから始まり、将棋に囲碁。特に2023年に注目を集めたのは生成系AIだ。ChatGPTはテキストベースの質問に対し、時に人より膨大な“知識”の中から回答できる。「AIが人の仕事を奪うのでは」との議論もたびたび蒸し返されるが、そもそも、こうしたAI自体、人のアイデアから生まれたものだ。
無限の可能性を秘めているこの人という資産は昨今、経営における最も重要な要素として認識されるようになった。かつて経営資源といえば「人、モノ、カネ、情報」と言われたが、今では「人、人、人、情報」とさえ言われる。人は最も伸びしろのある資産でありながら希少性が高いことから「人的資本経営」に注目が集まっている。
伸びしろのある人的資本を拡大する意味で、リスキリングが重要なキーワードとなっている。今のところは、DXの文脈の中で、AIの知識や、テクノロジーについて学ぶものが多い。DXを進めるにあたり、社員のリテラシーが高まっていないと、どこかでがボトルネックが発生してしまう。このため、ひとまず全社員に基礎的な言葉の意味やDXの可能性を知ってもらうことを目的としたリスキリングが大企業を中心になされているのだ。こうしたリスキリングの主導権は多くの場合、人事部門にある。
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