年間120万円の積み立てが可能になる新NISAに向けて、ネット証券各社がクレジットカード積立の増額に動いている。これまで月額5万円だった上限を、各社ともに10万円に引き上げる考えだ。
すでに3社が10万円への拡大を発表済み。さらにSBI証券とマネックス証券、auカブコム証券、PayPay証券は法令が改定され次第、10万円へと拡大することを明らかにしている。各社の口座獲得、投信設定額獲得の武器になってきたクレカ積立の上限額が倍増することで、さらに熾烈(しれつ)な競争が起こりそうだ。
口火を切ったのは、クレカ積立を日本で初めて開始した丸井グループ傘下のtsumiki証券だ。8月にいち早く発表を行い、上限額拡大議論に先鞭をつけた。新NISAスタートの2024年1月に合わせて、月間10万円に拡大し、すでに設定を受け付けている。
続いて対応したのが、大和コネクト証券とセゾン投信だ。いずれもセゾンカードでの積み立てを可能としている。大和コネクト証券は12月20日から設定受付を始め、いずれも24年1月から月額10万円の積み立てが行える。
PayPay証券は12月12日に「ローンチ時期は明言できないが、積極的に10万円に対応していく」(PayPay証券の番所健児社長)と話し、上限拡大に意欲を示した(関連記事)。
12月15日に、「法令改正があり次第対応」と発表したのがマネックス証券だ。同社はクレカ積立に対して1.1%のポイントを還元しており、無条件で付与するポイントとしては最も還元率が高い。「お客さまの運用資産が増えることにコミット」とうたい、サービスの強化を図る。
対して同日、SBI証券は「対応を検討」と発表した。関連法令改正があり次第、5万円から10万円に引き上げることを検討するとしており、実質的に対応発表といえる。SBI証券は複数のクレジットカードでの積立に対応しているが、どのカードでどう対応するかは明らかにしていない。また「三井住友カード プラチナプリファード」を使ったクレカ積立においては、5%という高率なポイント還元を実施しており、10万円拡大時もこの還元率を維持できるのかが注目される。
さらにauカブコム証券は「内閣府令が改正されたら、速やかに10万円に引き上げる予定」(同社広報)とコメントしており、前向きな姿勢だ。
となると気になるのは、クレカ積立で大きく口座数と積立設定額を伸ばした楽天証券だ。広報によると「法令改正が決まってからだが、お客さまの需要や市場の動きなどを考慮して、検討を進めている」という。ただし、現在でも「楽天カード」積立と「楽天キャッシュ」積立の併用で、月間10万円の積み立てが可能であり、楽天証券については10万円に引き上げるメリットは薄いともいえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング