育児期テレワークのニーズはどのくらい? 子が3歳になった後もさまざまな“壁”(3/4 ページ)

» 2024年01月17日 14時40分 公開
[今井昭仁ITmedia]

子が3歳になっても、親はさまざまな壁に直面

 上記の報告書(※1)は、3歳未満の子と同居する就業者に焦点をあて、その支援策として短時間勤務制度とあわせてテレワークを挙げている。ここで疑問となるのが、テレワークニーズがあるのは3歳未満の子と同居する就業者に特有なことかという点である。

 この点を考えるために、図2に目を移してみよう。図2は、テレワークを希望しながらできていない就業者を、同居の子の年齢層別に整理したものだ。これを見てみると、36.6%を記録した「3歳未満」の子と同居する就業者のテレワークニーズが、最も高くなっていることが分かる。次に「3歳以上6歳未満」が31.8%、「小中学生」が27.4%と続き、同居する子の成長に伴って、テレワークニーズは徐々に低下していることが理解できる。

育休 図2:同居する子の年齢層別テレワークニーズ(出所:パーソル総合研究所作成)

 このように、確かに3歳未満の子と同居する就業者のテレワークニーズは高いことが理解できる。このことが、政策的な提言につながっていることは想像に難くない。

 その一方で、同居の子が「3歳以上6歳未満」や「小中学生」となっても、依然4人に1人以上の就業者はテレワークを希望しながらもできていないことにも留意する必要がある。実際、コラム「“小1以降の壁”を企業はどう考えるべきか?」でも取り上げたように、子が3歳となった後も、小学校の入学や学童保育の受け入れなどに伴い「小1の壁」や「小4の壁」に直面することが知られている。

 そのため、政策的には3歳未満の子と同居する就業者が対象だとしても、実務的にはもう少し視点を広げて、人事制度を構築することが望ましいと考えられる。こうした切れ目のない支援は、育休後や就学前後など子の学齢に伴う退職率の改善にも寄与すると考えられる。

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