攻める総務

「紙の断捨離」わずか3年で半減の成果 エプソン子会社に聞くその秘訣(1/3 ページ)

» 2024年01月22日 07時00分 公開
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 DXの一丁目一番地ともいえるペーパーレス。働き方の柔軟性を高める上でも欠かせない取り組みだ。2023年の調査(※)によると、1カ月のうち紙書類のタスク処理に10時間以上を要している人は55.0%と過半数を占める。

(※)ラクス・ビズリーチ・弁護士ドットコムが運営する「紙に縛られない働きからプロジェクト」が実施

 一方で、業務のあらゆる領域に紙はつきもの。削減しようにも、範囲が広すぎてどこから手を付けるべきか分からない企業も多いのではないか。そこで本記事では、21年度から本格的に取り組みを進め、大きな効果を得ているエプソン販売(東京都新宿区)の事例を解説することで、そのヒントを考えていく。

総務が主導し「紙の使用量が半減」の成果 その秘訣とは

 オフィスや家庭向けのプリンタを中心に、紙と印刷を事業の柱とするセイコーエプソン(エプソン)グループで、販売を担うエプソン販売。業務改革を通したウェルビーイングの実現や、環境意識の向上を目的として、21年度からペーパーレスへ本格的に取り組んでいる。

 同社の販売推進本部で副本部長を務める福田雄一郎氏は、多くの企業が悩むペーパーレスについて「掛け声だけではうまくいかない」と指摘する。同社でも、ペーパーレスプロジェクトのトップは社長でありながら、各部門に推進リーダーを設置。トップが明確なメッセージを示し続けるとともに、社員自身が気付きを得ながら自発的に取り組めるような仕組みを整備したという。

photo エプソン販売 販売推進本部副本部長 福田雄一郎氏(写真は同社提供)

 プロジェクトは「無駄な印刷の削減」と「紙帳票の電子化」の2本柱で推進していった。まず取り組んだのが、紙帳票の選別作業だ。社内で使われている紙帳票を総ざらいした結果、1200種類以上の資料があることを確認。その上で、他社の事例も参考にしながら、総務部門が中心となって選別を進めていった。

 選別の基準は、紙として維持するべきか、あるいは電子化して残すべきか、はたまた“断捨離”しても問題ないか。選別の結果、法対応やグループ内の基準でどうしても紙として残さざるを得ない500種類ほどを除き、あとは電子化・廃止の方向で改革を進めていった。結果として237種類が即時廃止、その他274種類の廃止を検討するに至り、全体の3分の1ほどを圧縮できた。

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