新時代セールスの教科書

「営業メールが苦手……」どうすべき? 今日からできる3つのポイントQA「売れない営業」から脱出

» 2024年01月26日 08時00分 公開
[大村康雄ITmedia]

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スクラムセールスとは、全員が全顧客・全プロセスに対応できる体制をつくり、各商談先や顧客の担当を明記せず、全員で全顧客のあらゆる課題の解決に向き合うという営業スタイルだ。スクラムセールスにより新規受注額を1年で4.5倍にした株式会社cocoの事例を紹介する。

QA「売れない営業」から脱出

「頑張っているのに、なんで売れないのだろう」と悩む営業は多い。売れない営業には、必ず何らかの「原因」がある。どうしたら「売れる営業」になれるのかエッジコネクションの大村康雄代表が、事例を基にQA形式で解説する。


Q: 電話や商談など、口頭のコミュニケーションは得意だけれど、メールがどうしても苦手です……。メールになると文章が分かりにくくなってしまい、クライアントからもよく質問を受けてしまいます。効果的な営業メールを作成するコツはあるのでしょうか?

読みにくいメールを劇的に変える 3つのポイント

 メールが苦手な営業マンが増えているそうです。理由は、LINEなどのSNSでのやりとりはいわゆるチャット形式が多く、長文でメッセージを投げる機会をほとんど持たないまま社会人になってしまった人が増えているからではないでしょうか。

(ゲッティイメージズ)

 SNSが今後衰退していくことはないでしょう。また、仕事でもチャットツールを使う機会は年々増えています。メールが得意になるには、プライベートの時間で勝手にスキルアップする可能性は限りなく低く、きちんと勉強しないといけないわけです。

 そこで今回は、メールを書くときに意識すべき3つのポイントを紹介します。

 まずはこちらのメールを読んでみてください。

株式会社〜〜 〇〇様

お世話になっております。〜〜株式会社の〇〇です。

本日は、お忙しいところお打ち合わせのお時間をいただきまして誠にありがとうございました。

また、その際に、弊社からのご提案を聞いてくださり、ありがとうございました。

〇〇様がおっしゃっていたことして、現在の原価率を5%ほど低減させたいとのことでした。

それに対して、弊社からはこれまでの3カ月単位でのお付き合いを年間単位にしていただく、もしくは取引量を2倍にしていただくことで、5%のお値引きができればとご提案いたしました。

これに対し、〇〇様からは今週末の会議にて部内で相談するというお言葉をいただきました。

相談いただけるとのこと、誠にありがとうございます。

また結果を伺えればと思います。

何卒よろしくお願いいたします。

 さて、このメールを以下の3つのポイントに沿って、より読みやすく分かりやすくしていきましょう。

ポイント1:メールの目的を明確にし、文面で書いてしまう

 上記メールを読む限り、今回のメールの目的は、打ち合わせの議事録と今後の流れの共通認識を作ることだと思われます。であれば、それをそのまま冒頭に書いてしまいましょう。そうすることで、読み手はどういうスタンスで読み進めれば良いか分かりやすくなり、こちらが書いている内容を咀嚼(そしゃく)しやすくなります。

ポイント2:重要なポイントは文章ではなく箇条書きで書く

 提案内容が文章で書かれてましたが、A案、B案のように箇条書きで記載することで、受け手はどのような提案をいくつ受け取ったのかを把握しやすくなります。

 その他にも、先方のお困り事や今後の想定される展開など、複数の選択肢が生まれる可能性があるものは、文章ではなく箇条書きにすることで、認識漏れを防ぐことができます。

ポイント3:お願いごとは明確に書く

 上記メールの一番重要なポイントは、検討結果を聞きたいということでしょう。しかし、その部分がさらりとメール末尾に書かれているだけなので、あまり印象に残りません。いつにどのような形で検討結果を聞きたいのかを明示しておくことで、相手もそれに向けて心づもりをすることが出来ます。

 では、以上の3つのポイントに沿って、さきほどのメールを書き直してみましょう。

株式会社〜〜 〇〇様

お世話になっております。〜〜株式会社の〇〇です。

本日は、お忙しいところお打ち合わせのお時間をいただきまして誠にありがとうございました。

また、その際に、弊社からのご提案を聞いてくださり、ありがとうございました。

お打ち合わせでの提案内容と今後の流れにつきまして、私と〇〇様のご認識に齟齬がないように、以下のようにまとめましたので、ご確認頂けますと幸いです。→【ポイント1】

■〇〇様からのご要望

現在の原価率を5%ほど低減させたい

■当社からのご提案

現状、3カ月単位でのお付き合いですが、以下のどちらかにて5%のお値引きが可能

  • 年間単位のご契約にしていただく
  • 取引量を2倍にしていただく

■今後の流れ

今週末の会議にて部内で相談し、検討結果を出す→【ポイント2】

以上が、私の本日の打ち合わせでの認識でございます。

認識に齟齬がございましたらご指摘頂けましたら幸いです。

齟齬がないようでしたら、今週末にご相談なさるとのことですので、来週月曜の午前中に一度お電話で状況を伺えましたら幸いです。都合が悪い場合はお手すきのお時間帯を頂けますとうれしい限りです。→【ポイント3】

何卒よろしくお願いいたします。

 いかがでしょうか。書き直したものの方が、何を読み取れば良いか分かりやすく、誤解や読み飛ばしなどが発生しにくいと感じませんか? このように書くことで、書く側も頭をきちんと整理しながら書けますし、読み手にとっても読みやすいメールになります。

 SNSの普及で長文を書くことに苦手意識を持つ人が増えていると先述しましたが、SNSのチャット形式は書く側も読む側も短文ですから、メールをきちんと読み取るスキルが低い人が増えているともいえます。

 営業スタッフとしてメールが得意なことは、自分の作業効率が上がるだけでなく、営業成績が上がる可能性もあるという“お得”なスキルであることも覚えておきましょう。

大村康雄

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1982年生まれ。宮崎県延岡市出身。慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、米系金融機関であるシティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。2007年、株式会社エッジコネクション創業。ワークライフバランスを保ちつつ業績を上げる様々な経営・営業ノウハウを構築、体系化し、多くの経営者が経営に苦しむ状況を変えるべく各種ノウハウをコンサルティング業、各メディア等で発信中。1400社以上支援し、90%以上の現場にて売上アップや残業削減、創業前後の企業支援では80%以上が初年度黒字を達成。東京都中小企業振興公社や宮崎県延岡市商工会議所など各地で講師経験多数。


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